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2017年6月7日水曜日

A phase II randomized double-blind placebo-controlled study of 6-gingerol as an anti-emetic in solid tumor patients receiving moderately to highly emetogenic chemotherapy.


<背景>化学療法による悪心・嘔吐(CINV)は化学療法に副作用としては最も多いものであり、10-30%程度の頻度で出現する。これにより化学療法の有効性を低下させ、急性合併症の増加、生存期間を低下させる。
これに対しASCOではHECに対しては5-HT3、デキサメタゾン、NK-1受容体拮抗薬を、MECに対しては5-HTセロトニン受容体拮抗とデキサメタゾンの2剤を併用することを推奨し、実際に有効であるとの多くの報告があるものの低中所得国にとってアプレピタントやフォサプレピタントのようなNK-1受容体拮抗薬の入手は限定的であり、より使用しやすい薬剤のニーズがある。
ショウガの一成分である6-gingerolNK-1,セロトニン、ドーパミン受容体を抑制することによる抗嘔気作用を持つことが報告されている。一方で以前に行われたショウガそのものを使った臨床研究ではその優位性ははっきりと認められていない。今回はHEC/MECを受けた患者の優位成分である6-gingerolのみを抽出したphase2試験を行った。
Med Oncol. 2017 Apr;34(4):69.   PMID:28349496
<方法>
HEC/MEC加療を受けた患者88人をプラセボと6-gingerol加療に分け、化学療法投与の第1-3日で行った。6-gingerol 10mgあるいはプラセボを12回、day-312週間、あるいは化学療法の終了まで内服した。

対象:18歳以上、PS0-2まで
除外:
・ケモ歴のある患者
NK-1アンタゴニストを使用する患者
・ジンジャー過敏症、妊娠または授乳

〔併用薬〕
HEC:オンダンセトロン8mg(day1)+デキサメタゾン12mg(day1-4)
MEC:オンダンセトロン8mg(day1)+デキサメタゾン8mg(day1-4)

Primary EndpointCR=急性期・遅発性期(~24時間・24-120時間)共に嘔気のレスキュー使用なし、嘔吐などのイベントなしである患者の割合

さらに嘔気と食欲に関してNRSにてスケーリングし、FACT-Gを用いてQOLに関しても計測した。

<結果>
CR6-gingerolがプラセボ群と比較して優位であった。(77% vs 32%)
QOLスコアに関し手もプラセボ群より6-gingerol群が優位であった。また、6-gingerol群で明らかなAEは認めなかった。更に倦怠感に関してはプラセボ群の方が結果が悪く、6-gingerol内服により倦怠感の減弱があることが分かった。

一方、1サイクル中の急性期に関しては優位な差が出なかった。また今回NK-1は併用しておらず、両者を併用した場合に関しては今後の報告が待たれる。

discussion
Limitationとしては癌の内訳が乳がんと卵巣がんがほとんどであり、性差も女性が90%程度と集団がかなり偏っている点が挙げられる。
・嘔気自体が女性・酒に弱い人などに出現しやすいとされており、つわりによる嘔気には大建中湯などが効くとされている。米国ではジンジャエール(ショウガ+炭酸)が船酔いなどの嘔気にいいといわれており、本報告ではそれが客観的に示された結果となった。
HECの吐き気出現率がプラセボでも30%とやや低めであった。これはタイがそもそも香辛料・ショウガを比較的使用する食事が多いことによるのかもしれない。
・化学療法の支持療法に関しては未知な部分も多く、身近なことでも掘り下げることで新しい発見があるかもしれない。

※西埼玉中央病院に、2017年6月念願のコンビニが誘致された。が、しかし、ジンジャーエールが売られていない!!

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