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2017年4月27日木曜日

所沢医師会学術講演会

所沢医師会学術講演会
 所沢医師会に学術講演会で、「喘息メカニズムと吸入療法について」の講演をさせて頂きました。所沢での呼吸器診療を少しでも支えるようになれるように、呼吸器診療全般についてお話をさせて頂きました。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


2017年4月26日水曜日

Prophylactic cranial irradiation versus observation in patients with extensive-disease small-cell lung cancer: a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial


Prophylactic cranial irradiation versus observation in patients with extensive-disease small-cell lung cancer: a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial


 2017 Mar 23. pii: S1470-2045(17)30230-9.
Introduction
これまでのメタアナリシスでは、化学療法/化学放射線療法後にCRに至ったsmallに対してPCIを行うことで予後を延長させるという結果であった。2007年のEORTC(欧州がん研究治療機関)は化学療法反応性のあった286人のED-small患者に対し検討した結果、有症状脳転移の出現リスクがPCI群で14.1%、観察群で40.4%1生率が27.1%13.3%であり、PCIにより予後が改善すると結論づけた。
しかしこの報告はいくつかの問題点を含んでいる。
    EORTCでは登録時の脳の画像撮影を基本としておらず、PCI前に脳転移のあった患者を含んでいた可能性がある。
    Smallに対して良反応性であるCDDPを使用した患者の割合が記載されておらず、PCI群とコントロール群で化学療法の内容が異なっていた可能性がある。
    これまでの報告ではCRに至った場合PCIの有効性が高いことが知られているのにも関わらず、その割合を記載していない。
    放射線の合計照射量、照射回数もバラバラである。
    これまでの報告は予後を改善する、という結果の下PCIが推奨されているのにも関わらず、EORTCは有症状の脳転移の出現を減らすかどうかを主眼として試験デザインがされている。
以上の問題点を踏まえ、再検証したのが当報告である。

Methods
47施設、化学療法開始までに細胞診ないし組織診でED-smallの診断となっていた患者。
20歳以上、PS0-2で、2コース以上のPt製剤(CDDP or CBDCA)化学療法に対してresponseがあった患者。
・登録直前の4週間以内にMRIにて脳転移がないことを確認されており、かつCTで胸腹部の病変増大がないことを確認されている患者
・予測予後3か月以上、化学療法終了から6週間以内であること。

Exclusion criteria
PCI部位の照射歴
・同時に他の腫瘍がある
・精神障害、妊娠中など

・試験中の症状緩和のため、脳以外へのradiationokとした。
・経過フォローのMRIは全例3,6,9,12,1,8,24か月に撮影。その他症状出現などあり疑わしい場合も撮影した。
AEMRI撮影時に評価、認知機能に関しては登録時と12,24か月でMMSEを行った。

Primary EndpointOSintension-to treatで解析された
Secondary Endpoint…脳メタ出現までの期間、PFS,AE,MMSEによる認知機能

<結果>
・中間報告では163人を解析した。OSの中央値は10.1か月vs 15.1か月となり、ベイズ流予測にてPCI群が上回る確率が0.011%となったため試験は中途終了とされた。
・最終報告ではOS中央値がPCI群で11.6か月、観察群で13.7か月であった。またPCI群の1年生存率、2年生存率は48.4%,15.0%に対し、観察群で53.6%, 18.8%と観察群の方が良好な結果となった。
・最も多かった副作用としては食欲不振、下肢筋力低下、倦怠感であった、治療関連死はなかった。

Conclusion
この日本での試験結果ではPCI群は予後を延長しなかった。

Discussion
化学療法反応性のED smallに対してのPCIOSを改善しなかった。その理由として、EORTCでは全例の頭部画像撮影をしていなかった事が挙げられる。無症状の脳転移が存在しておりこれがPCIresponseを見せたことがEORTCでのOSを良化させたと考えられる。また、脳転移の出現自体は観察群で多かったものの、OSには影響しなかった。これはPCI群での3rd,4th lineといったsubsequent therapyを受けた割合が観察群の方が多かったからと考えられる。PCI群では施行後のAEがより顕著に、高頻度に出現しておりQOLの不良・AEの持続がsubsequent therapyの可能性、忍容性を下げてしまったからと考えられる。
今回の試験ではMMSEには差が出なかったものの、これまでの数多くの試験でPCIが認知機能低下に関係していることが示されている。脳転移のないこのリスクを踏まえ、ED-smallに対してのPCIは慎重に検討する必要がある。

撮影にMRIを使用できる現在、これまでのCTを使用したメタアナリシスはマッチしない可能性がある。
(担当;児玉先生、まとめ児玉 裕章)

2017年4月24日月曜日

免疫チェックポイント阻害薬適正使用セミナー

今回、癌研有明での講演は「免疫チェックポイント阻害薬適正使用セミナー」と題して
『免疫チェックポイント阻害剤による神経障害と筋障害』
        慶應義塾大学医学部 神経内科 専任講師 鈴木 重明先生の講演でした。
当院の薬剤部の先生方が参加して当院へフィードバックしております。(記 ;濵元 陽一郎)

2017年4月19日水曜日

Olanzapine for the Prevention of Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting.

Olanzapine for the Prevention of Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting.



Background
高催吐性化学療法(Highly Emetogenic Chemotherapy, HEC) を受けた患者群に対する嘔気/嘔吐予防のためのオランザピン(ジプレキサ)の効果を検討した。
Method
・無作為化・二重盲検・第3相試験で、デキサメサゾン、アプレピタント/フォサプレピタント、5HT3受容体拮抗薬に加え、オランザピンあるいはプラセボを併用した2群を比較した。
Chemo naïveかつCDDPあるいはシクロフォスファミド+ドキソルビシンで治療される患者群380(オランザピン群192人、プラセボ188)を対象とした。
day1-4の期間で一方は経口オランザピン10mg、もう一方はプラセボを投与された。その他の併用薬の量は2群で同じ。
Primary Endpoint:嘔気予防
Secondary Endpoint:完全寛解CR

Results
Primary Endpointは、化学療法後~24時間、25~120時間、120時間以降の全てにおいてオランザピン群がプラセボ群に比べて有意に高かった。(74% vs 45%p=0.00242% vs 25%p=0.00237% vs 22%p=0.002
Secondary EndpointであるCR率も同様に3期間全てでオランザピン群が有意に増加していた(86% vs 65%p<0.00167% vs 52%p=0.00764% vs 41%p<0.00)
・両群ともgrade5の毒性は認めなかったが、オランザピン群で投与2日目に眠気が増加する患者を認めた。その眠気も3日目以降には改善を認め、プラセボ群とほぼ変わりなかった。

Conclusion
オランザピンは、chemo naïveHECを投与した患者群においてプラセボ群よりも有意に嘔気予防とCR率を改善した。

Discussion
今回対象となった患者群の年齢中央値は57歳と若く、高齢の場合はオランザピンの副作用がより強く出ることが懸念される。しかし元々高齢者に対してHECを使用することは少ないことを考えるとそれほど問題にはならないかもしれない。当然効果はあると思われるがMECに対してどうか知りたいところ。
オランザピンの副作用としては長期使用にて鎮静作用とDMの悪化があるものの、今回の結果ではほぼ出現はなかった。本研究では10mg doseでの報告だが、日本ではあまり使われない高容量である。この10mgでも副作用が少なかったことを考えると今後の嘔気対策としては非常に使いやすいと考えられる。5mgのオランザピンでも嘔気抑制効果があったとする報告も散見されており1)、今後の使用頻度は増加していくだろう。

1)Olanzapine for the prevention of chemotherapy-induced nausea and vomiting in patients receiving highly or moderately emetogenic chemotherapy: a randomized, double-blind, placebo-controlled study.
Mizukami N, Yamauchi M, Koike K, Watanabe A, Ichihara K, Masumori N, Yamakage M.
J Pain Symptom Manage. 2014 Mar;47(3):542-50. doi: 10.1016/j.jpainsymman.2013.05.003. Epub 2013 Jul 12.

(抄読会担当井部、まとめ児玉)


 2017 Jan;25(1):277-288. Epub 2016 Jul 22.