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2018年1月31日水曜日

Incretin based treatments and mortality in patients with type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis

本日は、薬剤の大越さんが糖尿病インクレチン製剤のメタ解析を読んでくれました。
<背景>
インクレチンベースの治療法(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬など)T2DMの重要な治療薬の選択肢である。米国糖尿病学会、EASDでは2nd lineとしてこれら薬剤が推奨されている。血糖コントロールへの効果はよく知られており、更に体重減少、抗高血圧作用に加え低血糖を起こしにくい薬剤である。SAVOR-TIMI53試験という大規模ランダム化試験ではsaxagliptinがプラセボと比較して死亡率を上げる、という報告がされた。しかしこの報告は他の試験では否定されており、論争となっている。こうした背景より、我々はインクレチンベースの治療薬の死亡リスク上昇についてメタアナリシスを行うこととした。
<方法>
GLP-1ないしDPP-4阻害薬をプラセボ/生活習慣改善/他のT2DM治療薬、と比較した試験を集めた。
対象:12週以上のフォローが行われた試験、かつ死因がすべて報告されているもの。

20172月までにMedline,EMbase,CENTRALなどにあげられた試験を複数任で確認し、バイアスのないものを取り上げた。
<結果>
19250本の論文のうち、1187本を査読した結果適当と考えられた189論文155145患者についてメタアナリシスを行った。
すべての論文は企業協賛があった。119本がDPP-4について、68試験がGLP-1について、両薬剤についてが4試験であった。
130試験がインクレチンvs プラセボ、68試験がその他薬剤との比較、16試験がプラセボないし薬剤との比較であった。
189試験のうち77試験が死亡例がなかったとの報告であった。112試験で3888/151616人が死亡報告されており、そのうちの3592(92.4%)が心血管予後試験の大規模試験で報告されていた。
インクレチンvs対象群で、死亡リスクの差は5年間で3/1000人の減少を認めた。
また、インクレチン薬剤毎のサブグループ解析を行ったが、いずれも死亡率に関しては同様の結果となった。

<考察>
今回のメタアナリシスを受け、我々はインクレチンベース薬剤がT2DMの死亡率を上昇するという仮説は根拠に乏しいと結論づけた。これにより、SAVOR-TIMI試験で指摘された死亡率の上昇の報告で混乱した患者、医師に安心を与えうるだろう。しかし、多変量メタ回帰分析ではGL-1阻害薬が死亡率の低下に寄与している可能性を示唆した。GLP-1作動薬はDPP-4よりもHbA1cの持続的な低下、体重減少、Bコントロールと関連していることが示されている。しかしサブグループ解析では明らかな死亡率低下効果は少なく、信頼性が低いと考えられた。
本研究により、T2DM患者の死亡率に冠氏、インクレチンベースの薬剤が関連性がないと考える。正確な結論を出すためには更なる大規模試験で、より長期のフォローと適切にデザインされた試験が必要と考える。

Limitation薬物の長期的影響について評価されていない。出版バイアスなど

(担当:大越、まとめ:児玉)

2018年1月29日月曜日

2017年度 第一回CPC IgE高値・喘息患者 喀血を来し呼吸不全にて死亡した症例

今回は、呼吸器科の児玉先生が担当してくれました。
喀血から重症呼吸不全、人工呼吸器管理下で治療を行ったが、亡くなられた症例検討でした。多くのスタッフが集まり大変有意義な検討会でした。





2018年1月26日金曜日

チーム・イミュニティ会合(埼玉医科大学国際医療センター)

免疫療法が新たな治療戦略に加わり、本年も新薬が承認され使用できるようになります。昨年には、IV期肺癌の15−6%もの患者が、5年生存可能となるようになりました。
このような時代背景の中、西埼玉中央病院呼吸器科発足しました。まだまだ、規模が小さいため、最先端の研究までは取り組むことはできませんが、多くを学ぶことは可能と考えております。
 昨年は、癌研有明の免疫療法チームでの取り組みを学ばせて頂きました。本年は、同じ埼玉県西部医療圏で世界的な活躍されている埼玉医科大学国際医療センターでの免疫療法チームのミーティングへ参加してきました。
 取り計らっていただいた、山口 央先生には大変感謝しております。また、各務先生の講演や看護師さんの取り組みで多くの刺激をうけることとなりました。埼玉医科大学国際医療センターの皆さま大変ありがとうございました。
(残念ながら、毛利先生は金曜日不在のようでお会いすることはできませんでした)
 


2018年1月25日木曜日

平成29年度HIV感染症研修

新年早々に開催される、国立病院内での研修へ、西埼玉中央病院呼吸器科より、児玉先生が研修へ参加致します。
 日時:平成30年1月25日26日
場所:国立国際医療研究センター(新宿)

2018年1月24日水曜日

Analysis of Factors Associated With In-hospital Mortality in Lung Cancer Chemotherapy Patients With Neutropenia.

<背景>
化学療法に伴うFNは癌化学療法の際の最も深刻な合併症であり、肺がんに伴うFNの死亡率はPem使用時に1.8%、トポテカン使用時に28%となる報告がされている。
肺がんはその他の固形癌と比較してFN時に高い死亡率をきたすことが知られている。それだけにリスク予測やリスクに応じた化学療法の選択が重要である。
近年G-CSFの使用が一般的となってきたものの、その効果は今後の報告町である。本研究の目的はFNの死亡率についての新規情報と共に、肺がんとその他固形癌のリスク因子の同定を行うことである。
<方法>
アメリカにて2004-2012年の239施設で検討。
対象: 18歳以上の固形癌で、入院中に好中球減少をきたした患者。

FNをきたした時に死亡した人数を後ろ向きにカウントした。
肺がんの種類に関してはカウントしていない。また、喫煙の有無についてもカウントしていない。検討した合併症はDM,心臓、肺、腎、小脳、末梢血管、肝。
1人の患者につき初回1回の入院のみカウント。

Primary outcome:入院時死亡

<結果>

肺がん
その他固形癌
p
死亡率
11.2%
6.1%
<0.001
65歳以上の割合
50%
31.6%
<0.001
肺炎
26.4%
10.3%

呼吸器合併症
52/1%
24.0%


上記合併症が一つもない人の死亡率は5つ以上の合併症を持っている患者と比較し明らかに死亡率がよかった(0.9% vs 35.2%)
肺がん患者の方がその他痰がん患者よりも多くの合併症をもつ傾向になった。

<考察>
FN全体の入院時死亡率は7.0%であり、以前報告された8-10%という死亡率とほぼ変わりなかった。また、肺がん患者の死亡率がその他固形癌と比較して高いことも以前の報告通りであった。合併症の中ではCOPDの既往が最も重要なリスク因子であることが結果より示された。また、FN肺炎をきたした患者の死亡率は37.1%と、非常に多角なることが分かった。こういった呼吸期関連の疾患・合併症が肺がん患者のFNでの死亡率を増悪させている可能性がある。
高齢者、合併症が多い患者、COPD患者などは肺炎をきたす可能性が高く、それによる死亡率も憂慮する必要がある。こういった患者は注意深く経過を辿ることが必要となる。

Limitation:後ろ向き試験である点、肺がんのステージや抗癌剤の種類について不明な点、喫煙歴が不明な点、その他採血データや社会環境も不明な点。

(担当:桜田、まとめ:児玉)