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2018年5月30日水曜日

Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD.

井部先生が、肺がん診療でないCOPDへの3剤についてのATSでの結果についてまとめてくれました。ATSの報告では、ステロイドの恩恵を考えるか、リスクを考えるかの戸惑いがあったともききます。


(担当:井部、まとめ:児玉)

2018年5月23日水曜日

Outpatient Talc Administration by Indwelling Pleural Catheter for Malignant Effusion.

今日は、研修医1年目の森山先生の初の抄読会です。非常によくまとめて、プレゼンも上手にわかりやすく説明してくれました。お疲れ様です!!

<背景>
欧米では毎年75万人以上が悪性胸水の症状を呈している。胸水貯留に対しては胸膜癒着術が最も一般的であるがその成分としてはタルクによる胸膜癒着術が最も成績がよかったとのメタアナリシスが報告されている。しかし化学物質による癒着では最低4-7日の入院加療が必要であり、患者の余命を考えると必ずしも良い選択とは言えない。
ドレーン留置による持ち運び式のカテーテルは日常的に挿入され、更にその日のうちに退院できる利点がある。このカテーテルは留置のみで65%程度が自然に癒着すると報告されているがそれでも癒着術と比較すれば癒着率は劣る。タルクを使用することで高い癒着率を実現できる報告もあり、我々はドレナージカテーテル単体と比較してタルクを使用することでよりよい癒着率となると仮定し、本試験を行った。

<方法>
登録後、患者はカテーテル挿入を行い帰宅した。その後1日あたり最大1Lの胸水の排液を行った。ドレナージは訪問看護師やクリニックなどで行った。
その後癌種、胸水量、レントゲン初見などを元に1:1にランダム化され、タルク・プラセボ(0.9%生食)のいずれかを投与された。

対象: 悪性胸水の患者、余命2か月以上が見込める患者。PS0-2
除外:18歳未満、虚脱してしまっている肺、胸腔がlocutationしているもの、8か月以内に同側で癒着しているもの。

PE:胸膜癒着成功率(50ml/3日間、ないし25%以下の透過性低下部位)
SEQOL(EQ-5D-5LQLQ-C30)、患者の呼吸苦・胸痛、ランダム化以降の総胸水量、ランダム化以降の入院日数など

<結果>
923人が登録され、584人が適切と判断された。その中で307人がランダム化可能と判断され、最終的には154人がランダム化を行った。


タルク
プラセボ

癒着成功率(35日目)
30/69(43%)
16/70(23%)
P=0.008
癒着成功率(70日目)
35/69(51%)
19/70(27%)
P=0.003
総胸水量中央値
1350ml
3640ml

期間中入院日数
4.1±7.9
3.0±5.2
P=0.74

期間中に21(タルク7人、プラセボ14)が死亡したが、いずれも投薬とは無関係と考えられた。

<考察>
本試験によりタルクをカテーテルと共に使用することで良好な癒着率となることが示された。期間中40%の患者が最低でも1つ以上のAEをきたした。しかし大多数(68%)AEは試験とは関係がないと考えられた。タルクを使用することで癒着の成功率が上げられると考えられる。

Limitation
70日間の試験であり、長期的な作用は不明
癒着成功の定義は設定したものであり、実際の評価に適しているかは議論の余地がある
かなりの人数がランダム化前に除外されているため、集団に偏りがある可能性がある。
(担当:研修医森山、まとめ:児玉)

2018年5月16日水曜日

Chugai Lung Cancer Symposium in Kawagoe

中外製薬のatezolizumab(テセントリク)が先月承認されました。多くの薬剤が認可され戦国時代の様相を呈してきました。
がんセンター東病院より、お越しいただきました、葉先生より最新の肺癌治療の話題について講演をいただきました。後半は、各務先生より、免疫療法におけるバイオマーカーについて深く掘り下げていただきました。
中外製薬の方々ありがとうございました。

Nivolumab plus Ipilimumab in Lung Cancer with a High Tumor Mutational Burden.

CM227について詳細を見てみました。
<背景>
EGFR遺伝子変異などのない未治療のNSCLC患者に対する標準治療はPt製剤による化学療法か、PD-L1>50%の患者に対してはpembrolizumabがある。現状選択肢はそれほど多く無く、予測しやすいバイオマーカーにてより有効な効果を示す1st lineが必要とされている。NivolumabIpilimumabはそれぞれPD-1抗体、抗CTLA4抗体として使用される免疫チェックポイント阻害薬である。NivolumabIpilimumabNSCLC患者の1st lineとして、Nivolumab単剤より有効であることがphase1試験で報告されている。
また、Checkmate568によりTumor Mutation Burden10/megabaseと高値である場合、PD-1発現率に関わらず反応性が高かったことが報告されている。

Checkmate227では、phase3の多施設共同試験であり、TMB>10以上のNSCLC患者に対し、1st lineとしてのNivolumab+Ipilimumabと化学療法とのPFSを評価した。






<方法>
対象: stageⅣないし再発のNonSq,SqPS0-1。化学療法未治療
除外:EGFR変異、ALK変異のある患者、自己免疫性疾患の患者、未治療のCNSmetaのある患者。
CNSmetaは登録2週間以上前までに適切に治療されていれば許容した。

まずPD-1発現>1%と、<1%とで患者を分けた。
PD-1発現>1%
 1:1:1に①Nivolumab+IpilimumabPt製剤③Nivolumab単剤、の3種類に分けた。
PD-1発現<1%
 1:1:1に①Nivolumab+IpilimumabPt製剤③Nivolumab単剤+Pt製剤、の3種類に分けた。

PEPFSOS
SEPD-1>1%かつTMB>13Nivolumab+IpilimumabPFS
   PD-1<1%かつTMB>10Nivolumab+IpilimumabOS
Explolatory endpointsRRR期間、安全性

<結果>
2877人の患者が登録され、1739人がランダム化を行った。
1739人のうち1649人がTMBを図るに足る検体を持ち、1004(57.7%)が実際に割合を計測した。444人がTMB>10であり、最終的にNivolumab+Ipilimumab=139人、Chemotherapy160人となった。


Nivolumab+Ipilimumab
Chemotherapy
HR
PFS
42.6%
13.2%

Median PFS
7.2か月
5.5か月
0.58
ORR
45.3%
26.9%

1年経過時点でのORR
68%
25%

G3AE
31.2%
36.1%


AEとしては皮疹、肝障害が多く認められた。

Subgruop解析>
TMBが低い人に対する治療
PFSNivolumab+ipilimumab vs chemotherapy =  3.2か月vs  5.5か月 (HR1.07)
Nivolumab単剤 vs  chemotherapy  TMB>13
⇒ median PFS: 4.2か月 vs 5.6か月
Nivolumab 単剤 vs Nivolumab+Ipilimumab @TMB>10
median PFS:  4.2か月 vs  7.1か月  (HR 0.75)

<考察>
本試験ではTMB>10以上の患者に対する1st lineとして、Nivolumab+Ipilimumabが良好なPFSとなることを示した。この併用療法は1年生存率43%(化学療法13%)であり、更にTMBが高い患者に関してはPD-L1発現の率に関わらず、更に、扁平上皮癌であっても良好な結果を示した。また、TMB>10である場合、Nivolumab+IpilimumabNivolumab単剤と比較して良好な成績を示した。この事からNivoluma+Ipilimumabの併用療法はTMBが高ければPD-L1発現率に依存しない新レジメンとして使用することが期待される。
今後の課題として、①TMBが免疫化学療法併用時にバイオマーカーとして有用なのか、②TMBのカットオフ値はどこなのか、などが検討される。

(担当;濵元、まとめ;児玉)