<背景>
EGFR遺伝子変異などのない未治療のNSCLC患者に対する標準治療はPt製剤による化学療法か、PD-L1>50%の患者に対してはpembrolizumabがある。現状選択肢はそれほど多く無く、予測しやすいバイオマーカーにてより有効な効果を示す1st lineが必要とされている。Nivolumab、IpilimumabはそれぞれPD-1抗体、抗CTLA4抗体として使用される免疫チェックポイント阻害薬である。NivolumabとIpilimumabはNSCLC患者の1st lineとして、Nivolumab単剤より有効であることがphase1試験で報告されている。
また、Checkmate568によりTumor Mutation Burden>10/megabaseと高値である場合、PD-1発現率に関わらず反応性が高かったことが報告されている。
本Checkmate227では、phase3の多施設共同試験であり、TMB>10以上のNSCLC患者に対し、1st lineとしてのNivolumab+Ipilimumabと化学療法とのPFSを評価した。
<方法>
対象:
stageⅣないし再発のNonSq,Sq。PS0-1。化学療法未治療
除外:EGFR変異、ALK変異のある患者、自己免疫性疾患の患者、未治療のCNSmetaのある患者。
※CNSmetaは登録2週間以上前までに適切に治療されていれば許容した。
まずPD-1発現>1%と、<1%とで患者を分けた。
・PD-1発現>1%
1:1:1に①Nivolumab+Ipilimumab②Pt製剤③Nivolumab単剤、の3種類に分けた。
・PD-1発現<1%
1:1:1に①Nivolumab+Ipilimumab②Pt製剤③Nivolumab単剤+Pt製剤、の3種類に分けた。
PE:PFS、OS
SE:PD-1>1%かつTMB>13のNivolumab+IpilimumabのPFS、
PD-1<1%かつTMB>10のNivolumab+IpilimumabのOS
Explolatory endpoints:RR、R期間、安全性
<結果>
2877人の患者が登録され、1739人がランダム化を行った。
1739人のうち1649人がTMBを図るに足る検体を持ち、1004人(57.7%)が実際に割合を計測した。444人がTMB>10であり、最終的にNivolumab+Ipilimumab=139人、Chemotherapyが160人となった。
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Nivolumab+Ipilimumab
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Chemotherapy
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HR
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PFS
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42.6%
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13.2%
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Median PFS
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7.2か月
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5.5か月
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0.58
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ORR
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45.3%
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26.9%
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1年経過時点でのORR
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68%
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25%
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G3≧AE
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31.2%
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36.1%
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AEとしては皮疹、肝障害が多く認められた。
<Subgruop解析>
TMBが低い人に対する治療
⇒PFS:Nivolumab+ipilimumab vs chemotherapy = 3.2か月vs 5.5か月 (HR1.07)
Nivolumab単剤 vs chemotherapy @TMB>13
⇒ median PFS: 4.2か月 vs 5.6か月
Nivolumab 単剤 vs Nivolumab+Ipilimumab @TMB>10
⇒ median PFS: 4.2か月 vs 7.1か月 (HR 0.75)
<考察>
本試験ではTMB>10以上の患者に対する1st lineとして、Nivolumab+Ipilimumabが良好なPFSとなることを示した。この併用療法は1年生存率43%(化学療法13%)であり、更にTMBが高い患者に関してはPD-L1発現の率に関わらず、更に、扁平上皮癌であっても良好な結果を示した。また、TMB>10である場合、Nivolumab+IpilimumabはNivolumab単剤と比較して良好な成績を示した。この事からNivoluma+Ipilimumabの併用療法はTMBが高ければPD-L1発現率に依存しない新レジメンとして使用することが期待される。
今後の課題として、①TMBが免疫化学療法併用時にバイオマーカーとして有用なのか、②TMBのカットオフ値はどこなのか、などが検討される。
(担当;濵元、まとめ;児玉)
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