カウンター

2018年5月16日水曜日

Nivolumab plus Ipilimumab in Lung Cancer with a High Tumor Mutational Burden.

CM227について詳細を見てみました。
<背景>
EGFR遺伝子変異などのない未治療のNSCLC患者に対する標準治療はPt製剤による化学療法か、PD-L1>50%の患者に対してはpembrolizumabがある。現状選択肢はそれほど多く無く、予測しやすいバイオマーカーにてより有効な効果を示す1st lineが必要とされている。NivolumabIpilimumabはそれぞれPD-1抗体、抗CTLA4抗体として使用される免疫チェックポイント阻害薬である。NivolumabIpilimumabNSCLC患者の1st lineとして、Nivolumab単剤より有効であることがphase1試験で報告されている。
また、Checkmate568によりTumor Mutation Burden10/megabaseと高値である場合、PD-1発現率に関わらず反応性が高かったことが報告されている。

Checkmate227では、phase3の多施設共同試験であり、TMB>10以上のNSCLC患者に対し、1st lineとしてのNivolumab+Ipilimumabと化学療法とのPFSを評価した。






<方法>
対象: stageⅣないし再発のNonSq,SqPS0-1。化学療法未治療
除外:EGFR変異、ALK変異のある患者、自己免疫性疾患の患者、未治療のCNSmetaのある患者。
CNSmetaは登録2週間以上前までに適切に治療されていれば許容した。

まずPD-1発現>1%と、<1%とで患者を分けた。
PD-1発現>1%
 1:1:1に①Nivolumab+IpilimumabPt製剤③Nivolumab単剤、の3種類に分けた。
PD-1発現<1%
 1:1:1に①Nivolumab+IpilimumabPt製剤③Nivolumab単剤+Pt製剤、の3種類に分けた。

PEPFSOS
SEPD-1>1%かつTMB>13Nivolumab+IpilimumabPFS
   PD-1<1%かつTMB>10Nivolumab+IpilimumabOS
Explolatory endpointsRRR期間、安全性

<結果>
2877人の患者が登録され、1739人がランダム化を行った。
1739人のうち1649人がTMBを図るに足る検体を持ち、1004(57.7%)が実際に割合を計測した。444人がTMB>10であり、最終的にNivolumab+Ipilimumab=139人、Chemotherapy160人となった。


Nivolumab+Ipilimumab
Chemotherapy
HR
PFS
42.6%
13.2%

Median PFS
7.2か月
5.5か月
0.58
ORR
45.3%
26.9%

1年経過時点でのORR
68%
25%

G3AE
31.2%
36.1%


AEとしては皮疹、肝障害が多く認められた。

Subgruop解析>
TMBが低い人に対する治療
PFSNivolumab+ipilimumab vs chemotherapy =  3.2か月vs  5.5か月 (HR1.07)
Nivolumab単剤 vs  chemotherapy  TMB>13
⇒ median PFS: 4.2か月 vs 5.6か月
Nivolumab 単剤 vs Nivolumab+Ipilimumab @TMB>10
median PFS:  4.2か月 vs  7.1か月  (HR 0.75)

<考察>
本試験ではTMB>10以上の患者に対する1st lineとして、Nivolumab+Ipilimumabが良好なPFSとなることを示した。この併用療法は1年生存率43%(化学療法13%)であり、更にTMBが高い患者に関してはPD-L1発現の率に関わらず、更に、扁平上皮癌であっても良好な結果を示した。また、TMB>10である場合、Nivolumab+IpilimumabNivolumab単剤と比較して良好な成績を示した。この事からNivoluma+Ipilimumabの併用療法はTMBが高ければPD-L1発現率に依存しない新レジメンとして使用することが期待される。
今後の課題として、①TMBが免疫化学療法併用時にバイオマーカーとして有用なのか、②TMBのカットオフ値はどこなのか、などが検討される。

(担当;濵元、まとめ;児玉)

0 件のコメント:

コメントを投稿