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2018年5月9日水曜日

Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study.

<目的>
心血管疾患は低中所得国において、疾病負担の80%にも迫る重大な疾患である。
栄養の過剰摂取と心疾患/死亡率に関してはこれまでもたびたび議論されてきた問題である。
現在は脂質<30%、及び飽和脂肪酸<10%の低脂質とすることが推奨されている。
しかしこれまで報告されてきたデータはほとんどが欧米の、過剰栄養に陥りやすい国でのデータであり、実際に他の国々での適応性は不明であった。
また近年欧米の大規模調査で、飽和脂肪酸の消費と心疾患/死亡率とは関連性がほぼない、とするメタ解析が報告されている。
こういった背景を受け、このPURE studyでは栄養の過剰摂取/過小摂取の双方の地域において、実際に心血管疾患/死亡率と脂質、炭水化物がどのように関連しているのかを調査した。
<方法>
2003-2013までの期間で18か国の低//高所得国にて行われた前向き試験

対象:35-70歳の患者

社会経済的な情報、生活スタイル、既往歴、内服歴などを問診し、血圧、身長・体重を測定した。3/6/9年毎にフォローした。

Primary Outcome:全死亡率、主要な心血管イベント(致死的な心血管疾患、非致死的なMI、脳卒中、心不全)
Secondary Outcome:全MI、脳卒中、心血管疾患の死亡率、非心血管疾患での死亡率

炭水化物、たんぱく質、全脂質、脂質各種の各栄養素の摂取量ごとに全体を5分割(quintile)し、最も接種が少ない群を比較対象としてそのHRを計測した。
サブグループ解析として、アジアと非アジアでは炭水化物の摂取量が大きく異なる(アジアは高炭水化物低脂質、その他は逆)ため、アジアとその他で炭水化物量・脂質量が与える影響についても考察した。


<結果>
148723人が調査に登録され、そのうちの調査不十分や心疾患の既往などで除外された結果、135335人が最終的に試験に組み入れられた。


炭水化物量ごとに5分割した場合、摂取量が増加するほど全死亡率・非心血管性死亡イベントが増加する傾向にあった。
一方脂質摂取量に関しては、全脂質摂取量が増加するほど全死亡率、脳卒中、非血管性死亡イベントが減少するといった結果になった。飽和脂肪酸に限定しても同様の結果となった。飽和脂肪酸の摂取量の増加自体は心血管性イベント、MIなどによる死亡率と関連性を持たなかった。
たんぱく質に関しても全死亡率、非心血管性死亡イベントは低下する傾向にあった。
また、サブグループ解析でのアジア人・非アジア人それぞれでの死亡率と摂取量の比較では、どちらも大きな差を認めなかった。両群共に炭水化物の摂取が多いほど全死亡率が高くなる傾向にあり、また脂質の摂取量は全死亡率と反比例する結果となった。

<結論>
この大規模コホート研究では、炭水化物摂取量が高いほど全死亡率・非心血管性疾患での死亡率が高くなる傾向にあることを示す一方、脂質摂取量が高いほど全死亡率・非心血管性疾患・脳卒中のリスクが低下することを示した。
更に、脂質それぞれの種類に関して分析しても同様であり、心血管イベントやMIによる死亡率と関連性がないことを示した。
従来のガイドラインでは脂質摂取を30%以下にすることが推奨されていたものの、本研究では従来の指標を指示しない結果となった。
従来と異なる結果となった理由の一つに、炭水化物摂取量が46-77%とばらつきがあり、これまでの狭い範囲でのみの研究と異なったことが推定される。低中所得国家ではより多い炭水化物接種となることがあり、特に接種方法が限定されていることがこの結果につながった可能性がある。しかし、炭水化物の低摂取量と健康との関連性はなく、過度な炭水化物減量が推奨されるものではない。

Limitation
・患者の摂取量はFFQに基づいており、厳密な意味では正確ではない。
・栄養摂取量はベースラインでのみ計測されており、フォロー中に変化している可能性があある。
・地域バイアスがある
など
(担当;大越、まとめ;児玉)

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