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2018年5月23日水曜日

Outpatient Talc Administration by Indwelling Pleural Catheter for Malignant Effusion.

今日は、研修医1年目の森山先生の初の抄読会です。非常によくまとめて、プレゼンも上手にわかりやすく説明してくれました。お疲れ様です!!

<背景>
欧米では毎年75万人以上が悪性胸水の症状を呈している。胸水貯留に対しては胸膜癒着術が最も一般的であるがその成分としてはタルクによる胸膜癒着術が最も成績がよかったとのメタアナリシスが報告されている。しかし化学物質による癒着では最低4-7日の入院加療が必要であり、患者の余命を考えると必ずしも良い選択とは言えない。
ドレーン留置による持ち運び式のカテーテルは日常的に挿入され、更にその日のうちに退院できる利点がある。このカテーテルは留置のみで65%程度が自然に癒着すると報告されているがそれでも癒着術と比較すれば癒着率は劣る。タルクを使用することで高い癒着率を実現できる報告もあり、我々はドレナージカテーテル単体と比較してタルクを使用することでよりよい癒着率となると仮定し、本試験を行った。

<方法>
登録後、患者はカテーテル挿入を行い帰宅した。その後1日あたり最大1Lの胸水の排液を行った。ドレナージは訪問看護師やクリニックなどで行った。
その後癌種、胸水量、レントゲン初見などを元に1:1にランダム化され、タルク・プラセボ(0.9%生食)のいずれかを投与された。

対象: 悪性胸水の患者、余命2か月以上が見込める患者。PS0-2
除外:18歳未満、虚脱してしまっている肺、胸腔がlocutationしているもの、8か月以内に同側で癒着しているもの。

PE:胸膜癒着成功率(50ml/3日間、ないし25%以下の透過性低下部位)
SEQOL(EQ-5D-5LQLQ-C30)、患者の呼吸苦・胸痛、ランダム化以降の総胸水量、ランダム化以降の入院日数など

<結果>
923人が登録され、584人が適切と判断された。その中で307人がランダム化可能と判断され、最終的には154人がランダム化を行った。


タルク
プラセボ

癒着成功率(35日目)
30/69(43%)
16/70(23%)
P=0.008
癒着成功率(70日目)
35/69(51%)
19/70(27%)
P=0.003
総胸水量中央値
1350ml
3640ml

期間中入院日数
4.1±7.9
3.0±5.2
P=0.74

期間中に21(タルク7人、プラセボ14)が死亡したが、いずれも投薬とは無関係と考えられた。

<考察>
本試験によりタルクをカテーテルと共に使用することで良好な癒着率となることが示された。期間中40%の患者が最低でも1つ以上のAEをきたした。しかし大多数(68%)AEは試験とは関係がないと考えられた。タルクを使用することで癒着の成功率が上げられると考えられる。

Limitation
70日間の試験であり、長期的な作用は不明
癒着成功の定義は設定したものであり、実際の評価に適しているかは議論の余地がある
かなりの人数がランダム化前に除外されているため、集団に偏りがある可能性がある。
(担当:研修医森山、まとめ:児玉)

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