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2018年7月18日水曜日

Procalcitonin-Guided Use of Antibiotics for Lower Respiratory Tract Infection.

今回は、感染症の指標としてのプロカルシトニンについて、下気道感染の抗生剤の投与期間に有益かどうかの論文です。
 結論として、救急診察の際、PCTを計測しても抗生剤のチョイスや投与期間に影響ないことがわかった。軽症が多いのか、PCT値が低い患者が80%弱であったのが原因か?


<背景>
抗菌薬の過使用は医療費増大・耐性菌の増加などの様々な問題を含む。
プロカルシトニンは感染の重症度、治療反応性を持ち、いくつかの論文によるとプロカルシトニンを使用することで抗菌薬の使用を減少させることができると報告されている。2017年にはFDAが抗菌薬開始・中止基準として認可している。しかし、その実際の有効性は未だ不明な点が多い。その効果としては論文によって異なり、利点が大きいとするものや、日常使用に大きな問題がないとするものまで様々である。
今回は、多施設共同研究により実際にプロカルシトニンが抗菌薬の使用を削減させることができるかを検討した。


<方法>
アメリカの14施設にて、下気道感染の疑いのある患者を1:1に割り付けた。

プロカルシトニン群:プロカルシトニンを計測し、その結果を主治医へ伝え、治療の参考とする。
通常群:計測するものの、それを主治医へ伝えない。

対象: 18歳以上の救命科受診した患者のなかで、初期診断として下気道感染症と診断された患者。
下気道感染症の内訳としてはCOPD急性増悪、喘息発作、急性気管支炎、市中肺炎、その他、に分類した。
プロカルシトニン値は入院直後および6時間後、24時間後、3,5,7日後に計測を行った。

PE 最終的な抗菌薬の使用量(30日間での抗菌薬使用日数)

<結果>
1664人の患者が登録され、最終的に826人がプロカルシトニン群、830人が通常群として割り付けられた。ベースラインに関しては偏りがなかった。

プロカルシトニンレベル(両群)
<0.1µg                     :1236/1596(77.4%)
0.1µg-0.25µg            : 230/1596(14.4%)
0.25µg-0.5µg            :50/1596(3.1%)
>0/5µg                     :80/1596(5.0%)



プロカルシトニン群
通常群
P
抗生剤使用期間
4.2
4.3
0.87
抗生剤使用率
57.0%
61.8%

入院患者の抗菌薬使用期間(平均)
2.6
2.7

救急外来での抗菌薬処方率
34.1%
38.7%



<考察>
この多施設研究試験ではプロカルシトニンの使用による抗菌薬処方の検討は、抗菌薬の使用頻度に大きな影響を与えなかった。その理由として、臨床医がプロカルシトニンのレベルを知らなかったとしても、低値の患者に対しては元々高プロカルシトニン値の患者よりも抗菌薬を使用しないパターンが多かったことが示唆される。またプロカルシトニン低値の患者は臨床症状も乏しいことが多く、プロカルシトニンに頼らずして決断が出来たことも一因として考えられる。
従来の試験と反対の結果が出た理由に、肺炎が多く含まれていたことなどが考えられる。
通常群において抗菌薬を適切に使用していなかった可能性も考えられるが、重症化・臓器不全などの頻度が両群で変わらなかった事から、臨床医はプロカルシトニンを使用せずも抗菌薬の適切な使用ができている率が高いと考える。

Limitation:プロカルシトニン値は基本的に抗菌薬投与前に迅速に伝えられたものの、すべてのケースで間に合ったわけではない点。
実際に処方する医師の判断に任されている部分が多い点。
中途脱落がいる点などが挙げれらていた。


(担当;濵元、まとめ:児玉)

2018年7月13日金曜日

西埼玉中央病院呼吸器診療 2周年記念

西埼玉中央病院呼吸器診療発足して2年が経過しました。多くの方々に支えられて、2年を無事迎えることができ、大変感謝しております。また、多くの患者さまの支えになれるように、日々皆で協力して参りたいと思います。

2018年7月12日木曜日

Cancer immunotherapy efficacy and patients’ sex: a systematic review and meta-analysis

<背景>
性差により、自己・他者に対する免疫反応には違いがでると考えられている。女性は一般的に男性と比べ免疫反応が強いとされており、女性の感染率・重症率が低い事、ワクチンの反応性の高さの説明となる。一方で自己免疫疾患に罹患するのは80%が女性である。性差によるホルモンバランス・遺伝子・環境などが反映されていると考えられる。
また男性は女性と比べ癌による死亡率が2倍近く高く、特にメラノーマ、肺がん、膀胱がんなどで精査が大ききことが知られている。この死亡率の差は単に環境因子や生物学的な因子だけではなく、免疫系にもあると仮説づけられる。
また、動物実験レベルではPD-1/PD-L1経路に対する性差の影響が報告さレており、性ホルモンがその機能や発現を調整している重要な因子であると考えられている。このような背景から、我々は男性患者の方がICIの恩恵が大きい可能性を考えた。本研究はsystematic review meta-analysisの試験である。

<方法>
Pubmen,MEDLINE,Embase,Scopusに載っているphase2,3試験を検索した。
更にASCO,ESMOにて発表されたものについても確認を行った。

PE 男女でのICIに対する効果の差をOSにて比較する

更に癌種、治療ライン、ICIの種類などについてサブグループ解析を行った。

<結果>
7133の論文の中から20のランダム化試験を選択し多。うち13試験がPD-1阻害(Nivo 8Pembro 5)であり、6試験がCTLA4阻害(Ipilimumab 4tremelimumab 2)、残りの1試験はIlipimummab+Nivolumabの併用であった。


男性(ICI vs control)HR
女性(ICI vs control)HR
P
OS
0.72
0.86
0.0019

サブグループ解析に関してもICIの効果は男性に優位であったが、heterogenityに関して有意差は出なかった。

<考察>
本試験の結果よりICIは両性別、ある種の癌に対して良好なOSとなるが、その中でも男性に対する効果が高いことを示した。男性のICIによる死亡リスクの減少は、NSCLCPD-1抗体>1%に対するICI使用の減少率に匹敵する程度であった。
現在ICIに対する有効なマーカーを模索しているところであり、性差による有効性の違いについては検討されていない。我々の知る限り本研究は性差が有効性に直結するとする最初の研究である。サブグループ解析でも小細胞がん以外の癌種には男性が優位に効果を示した。(小細胞がんに関してはそもそもICIが効果がないとされている)
以上より、ICIを使用する際に性差はリスクベネフィットの面から考慮に値すると考えられる。今後の研究においては特に女性をターゲットとした有効な免疫療法の検討が必要と考えられる。

Limitation
メタ解析であり、個々の症例に対しては論文に依存しているため、性差以外のデータは操作できていない点。特にEGFR変異は女性に多くICIは効果が薄いとされているが、これについては除外出来ていない。
(担当:岡崎、まとめ:児玉)