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2018年7月12日木曜日

Cancer immunotherapy efficacy and patients’ sex: a systematic review and meta-analysis

<背景>
性差により、自己・他者に対する免疫反応には違いがでると考えられている。女性は一般的に男性と比べ免疫反応が強いとされており、女性の感染率・重症率が低い事、ワクチンの反応性の高さの説明となる。一方で自己免疫疾患に罹患するのは80%が女性である。性差によるホルモンバランス・遺伝子・環境などが反映されていると考えられる。
また男性は女性と比べ癌による死亡率が2倍近く高く、特にメラノーマ、肺がん、膀胱がんなどで精査が大ききことが知られている。この死亡率の差は単に環境因子や生物学的な因子だけではなく、免疫系にもあると仮説づけられる。
また、動物実験レベルではPD-1/PD-L1経路に対する性差の影響が報告さレており、性ホルモンがその機能や発現を調整している重要な因子であると考えられている。このような背景から、我々は男性患者の方がICIの恩恵が大きい可能性を考えた。本研究はsystematic review meta-analysisの試験である。

<方法>
Pubmen,MEDLINE,Embase,Scopusに載っているphase2,3試験を検索した。
更にASCO,ESMOにて発表されたものについても確認を行った。

PE 男女でのICIに対する効果の差をOSにて比較する

更に癌種、治療ライン、ICIの種類などについてサブグループ解析を行った。

<結果>
7133の論文の中から20のランダム化試験を選択し多。うち13試験がPD-1阻害(Nivo 8Pembro 5)であり、6試験がCTLA4阻害(Ipilimumab 4tremelimumab 2)、残りの1試験はIlipimummab+Nivolumabの併用であった。


男性(ICI vs control)HR
女性(ICI vs control)HR
P
OS
0.72
0.86
0.0019

サブグループ解析に関してもICIの効果は男性に優位であったが、heterogenityに関して有意差は出なかった。

<考察>
本試験の結果よりICIは両性別、ある種の癌に対して良好なOSとなるが、その中でも男性に対する効果が高いことを示した。男性のICIによる死亡リスクの減少は、NSCLCPD-1抗体>1%に対するICI使用の減少率に匹敵する程度であった。
現在ICIに対する有効なマーカーを模索しているところであり、性差による有効性の違いについては検討されていない。我々の知る限り本研究は性差が有効性に直結するとする最初の研究である。サブグループ解析でも小細胞がん以外の癌種には男性が優位に効果を示した。(小細胞がんに関してはそもそもICIが効果がないとされている)
以上より、ICIを使用する際に性差はリスクベネフィットの面から考慮に値すると考えられる。今後の研究においては特に女性をターゲットとした有効な免疫療法の検討が必要と考えられる。

Limitation
メタ解析であり、個々の症例に対しては論文に依存しているため、性差以外のデータは操作できていない点。特にEGFR変異は女性に多くICIは効果が薄いとされているが、これについては除外出来ていない。
(担当:岡崎、まとめ:児玉)

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