薬学学生の加世田くんの担当です。
いつもありがとうござます。
<背景>
喘息患者の約20%は治療介入しているにも関わらずコントロール不良の中程度~重症患者といわれている。Il4,IL5などのサイトカインによるType2 inflammation(Th2)は喘息患者の約50%程度に起こるとされている。このメカニズムとは血中好酸球、IgE、及びFENOが関連しているとされており、重症喘息の治療におけるマーカーとなる可能性が考えられる。
DupilumabはIL4受容体αモノクローナル抗体であり、IL-4,IL-13シグナルを阻害する。
Dupilumabは既にアトピー性皮膚炎に対する治療として承認されている。本試験(LIBERTY ASTHMA QUEST)は重症喘息に対しDupilumabの効果を検討・評価したものである。
<方法>
ランダム化二重盲検試験にて52週間の介入気管、及びその後の12週間のフォローアップを行った。
対象: 12歳以上かつ12か月以上前に喘息の診断をされ、直近1年で1回以上の増悪・入院をした患者
2014喘息ガイドラインに沿った中~高容量吸入ステロイド・コントローラ―の使用を行っている患者
気管支拡張薬使用前の%FEV1≦80%
FEV1可逆性≧12% あるいは200ml
ACQ-5≧1.5
以上の患者群を①Dupilumab200mg/2w群、②Dupilumab300mg/2w、③プラセボ群(Dupilumab 200mg相当)、④プラセボ群(Dupilumab300mg相当)に2:2:1:1に割り付けた。
200mg群はローディング量を400mg、300mg群は600mgにて行った。
また、吸入している薬剤はそのまま継続とした。
PE:
年間での喘息増悪回数、開始時と比較した12週目でのFEV1
SE:血中好酸球300以上の患者での増悪率・FEV1
<結果>
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Dupilumab200mg
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プラセボ群
|
比較
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Dupilumab300mg
|
プラセボ群
|
比較
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増悪/年
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0.46
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0.87
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47.7%低下
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0.52
|
0.97
|
46.0%低下
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Eo≧300での増悪
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0.37
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1.08
|
65.8%低下
|
0.40
|
1.24
|
67.4%低下
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300≧Eo≧150での増悪
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0.56
|
0.87
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35.6%低下
|
0.47
|
0.84
|
44.3%低下
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150≧Eoでの増悪
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0.47
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0.51
|
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0.74
|
0.64
|
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FEV1
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0.32L
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0.18L
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P<0.001
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0.47
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0.22
|
P<0.001
|
DupilumabによるFEV1の改善は投与2週目から52週目まで持続した。
・安全性に関しては大きく変化しなかった。最も多い副作用は注射部位の疼痛であった。
<考察>
喘息の増悪率は、Dupilumab群にて明らかに低下した。特に血中のEoとFENOが高値の患者に関してより効果が高かった。
本試験の結果ではIl4,IL13が喘息の主要なドライバーであることを示唆した。DupilumabはFENOを著明に減少させ、更にIgEなどの他のtype2炎症マーカーも減少させることで、気道炎症における生物学的な活動性を確認できた。Dupilumabを使用することでIL-5阻害剤よりも幅広い患者に対応できるのは、Il-4、IL-13を共に阻害することが理由と考えられる。Dupilumab使用に伴い好酸球の増加が認められるものの、AEとしては大きなものは認めなかった。
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