<背景>
化学療法に伴うFNは癌化学療法の際の最も深刻な合併症であり、肺がんに伴うFNの死亡率はPem使用時に1.8%、トポテカン使用時に28%となる報告がされている。
肺がんはその他の固形癌と比較してFN時に高い死亡率をきたすことが知られている。それだけにリスク予測やリスクに応じた化学療法の選択が重要である。
近年G-CSFの使用が一般的となってきたものの、その効果は今後の報告町である。本研究の目的はFNの死亡率についての新規情報と共に、肺がんとその他固形癌のリスク因子の同定を行うことである。
<方法>
アメリカにて2004年-2012年の239施設で検討。
対象:
18歳以上の固形癌で、入院中に好中球減少をきたした患者。
FNをきたした時に死亡した人数を後ろ向きにカウントした。
肺がんの種類に関してはカウントしていない。また、喫煙の有無についてもカウントしていない。検討した合併症はDM,心臓、肺、腎、小脳、末梢血管、肝。
1人の患者につき初回1回の入院のみカウント。
Primary outcome:入院時死亡
<結果>
肺がん
|
その他固形癌
|
p
|
|
死亡率
|
11.2%
|
6.1%
|
<0.001
|
65歳以上の割合
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50%
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31.6%
|
<0.001
|
肺炎
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26.4%
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10.3%
|
|
呼吸器合併症
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52/1%
|
24.0%
|
上記合併症が一つもない人の死亡率は5つ以上の合併症を持っている患者と比較し明らかに死亡率がよかった(0.9% vs 35.2%)
肺がん患者の方がその他痰がん患者よりも多くの合併症をもつ傾向になった。
<考察>
FN全体の入院時死亡率は7.0%であり、以前報告された8-10%という死亡率とほぼ変わりなかった。また、肺がん患者の死亡率がその他固形癌と比較して高いことも以前の報告通りであった。合併症の中ではCOPDの既往が最も重要なリスク因子であることが結果より示された。また、FN肺炎をきたした患者の死亡率は37.1%と、非常に多角なることが分かった。こういった呼吸期関連の疾患・合併症が肺がん患者のFNでの死亡率を増悪させている可能性がある。
高齢者、合併症が多い患者、COPD患者などは肺炎をきたす可能性が高く、それによる死亡率も憂慮する必要がある。こういった患者は注意深く経過を辿ることが必要となる。
Limitation:後ろ向き試験である点、肺がんのステージや抗癌剤の種類について不明な点、喫煙歴が不明な点、その他採血データや社会環境も不明な点。
(担当:桜田、まとめ:児玉)
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