Management of Brain Metastases in Tyrosine Kinase
Inhibitor–Na ̈ıve Epidermal Growth Factor Receptor–Mutant
Non–Small-Cell Lung Cancer: A Retrospective Multi-
Institutional Analysis
今回は、話題になっている脳転移のあるEGFR遺伝子変異陽性患者への脳への放射線治療(WBRT/SRS)が先行するか、それともEGFR-TKIを先行させるかのレトロにみた論文です。
今回は、話題になっている脳転移のあるEGFR遺伝子変異陽性患者への脳への放射線治療(WBRT/SRS)が先行するか、それともEGFR-TKIを先行させるかのレトロにみた論文です。
JCO 2017;35(10)1070-1077
感想・考察
当院の抄読会でも議論となったのが、この論文を鵜呑みにして脳転移のあるEGFR遺伝子陽性患者に全てSRSを行うべきかであった。後ろ向きでの検討のため、断言することはできないが、やはり前向きの試験結果があれば良い結論となった。Limitationで記述されている通り、セレクションバイアスが多く、施設間バイアスも無視はできない。
AppendixでのPropensity Matching scoreでも、やはり同様の結果となり更に、説得力があるように見えている。しかし、いくらPropensity matching scoreを使用しても、セレクションバイアスは除去できない以上は、後ろ向き研究の限界なのかもしれない。
最後に、遺伝子変異のある患者は腺癌患者の中で10−15%、でありアジアでは約60%いるとされています。日本で同様に試験や後ろ向きの試験を行った場合、異なる結果となる可能性があると考察した。(担当;濵元)
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Purpose
脳転移のあるEGFR遺伝子変異陽性NSCLCにとり、定位照射(SRS)、全脳照射(WBRT)、EGFR-TKIは治療選択肢である。EGFR変異陽性・脳転移のあるNSCLC患者への、EGFR-TKI未治療の患者マネージメント決定する目的で他施設での分析を行った。
Material and Methods
6施設において、本試験の適格基準に合致した合計351名の脳転移があるEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者がエントリーした。EGFR-TKI使用歴があること、EGFR-TKIに耐性であること、WBRT/SRS後にEGFR-TKIの治療がされなかった患者、十分なフォローがなされなかった患者は除外された。SRS治療後EGFR-TKIでの治療、WBRT後にEGFR-TKI治療、EGFR-TKI後にSRS/WBRTが行なわれた3群で比較検討した。全生存期間としてのOSと頭蓋内病変無増悪期間が脳転移データから計測された。
Results
全生存期間中央値は、
SRS(N=100) 46ヶ月(4年)
WBRT(n=120) 30ヶ月(2年半)
EGFR-TKI(n=131) 25ヶ月(2年)
多変量解析では、SRS vs EGFR-TKI
WBRT vs EGFR-TKI
Age
PS
Del19
頭蓋内以外の転移がないこと がOSを改善する因子であった。
SRSとEGFR-TKIコホートは同じような予後の特徴であったが、WBRTコホートはより良好でない予後のようであった。
Conclusion
本他施設間での分析で、脳転移のあるEGFR遺伝子変異陽性NSCLCにとり、放射線治療を先延ばしするより、最初にEGFR-TKIを使用することは、全生存期間を悪くする。SRSの後で、EGFR-TKIを投与する結果最も長期間でのOSの結果となり、全脳放射線治療後に続発的に生じる認知機能障害を回避することができる。頭蓋内病変の進行に対して、SRS後のEGFR-TKI内服とEGFR-TKI内服後SRSを行う、前向きな他施設間無作為試験が可及的に必要とされる。
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