カウンター

2019年6月26日水曜日

Apixaban to Prevent Venous Thromboembolism in Patients with Cancer.

今回の抄読会担当は、薬剤部の飯尾先生です。担癌患者での静脈血栓形成傾向についての予防として、DOACではEdoxabanでのHOKUSAI試験が昨年公表されています。今回は、Apixabanとプラセボの試験で同じ試みが行われNEJMへ掲載されました。HOKUSAIでは、Daltepalinとの比較で統計的な差は認められませんでしたが、今回は、プラセボとの比較であり、明らかな統計的な優位差を認めています。どのように解釈するのべきか、議論のあるところです。


【抄読会での主な討論】
  エドキサバン経口投与は,静脈血栓塞栓症の再発および重大な出血の複合転帰に関して,ダルテパリン皮下投与に対して非劣性を示したHokusai VTE Cancer試験と似ているが,今回の試験ではプラセボと比較して優性を示しただけで,使わないより良いのは当たり前な感じはする.
  癌患者のVTE予防でDOACが有効であることを示せればガイドラインに載るという,そのドル箱狙いの研究が多く行われているようだ.



【目的と方法】
静脈血栓塞栓症(VTE)の治療の第一選択は抗凝固療法であり,従来から日本では用量調節が必要な未分画ヘパリンとワルファリンが使用されてきた.いずれも調節に難渋するためVTE 再発が少なくなく,また出血性合併症も高率だった.近年,非経口Xa 阻害薬フォンダパリヌクス,ならびに非ビタミンK 阻害型経口抗凝固薬(NOAC/ 直接経口抗凝固薬(DOAC)のエドキサバン,リバーロキサバン,アピキサバンが,日本でもVTE に対して使用できるようになった.従来治療よりも安定した効果を発揮すると考えられる.一方で,活動性の癌を有する患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高く,相当な障害,死亡,医療支出をもたらす.Khorana スコア(06 のスコアが高いほど静脈血栓塞栓症のリスクが高い)は,この合併症のリスクが高い癌患者の特定における妥当性が確認されており,血栓予防で利益が得られる可能性のある患者の選別に有用と考えられる.癌を有し,静脈血栓塞栓症のリスクが中~高(Khorana スコア 2 以上)で,化学療法を開始する外来患者を対象に,血栓予防を目的とする低用量のアピキサバン(2.5 mg 1 2 回)の有効性と安全性を評価するために無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験を行った.プライマリーエンドポイントは,180 日間の追跡期間中に客観的に記録された静脈血栓塞栓症とした.主な安全性の主要評価項目は重大な出血エピソードとした.

【結果と結論】
無作為化された 574 例のうち,修正 intention-to-treat 解析の対象は 563 例であった.静脈血栓塞栓症は,アピキサバン群の 288 例中 12 例(4.2%)とプラセボ群の 275 例中 28 例(10.2%)に発生した(ハザード比 0.4195%信頼区間 [CI] 0.260.65P0.001).修正 intention-to-treat 解析では,重大な出血は,アピキサバン群の 10 例(3.5%)とプラセボ群の 5 例(1.8%)に発生した(ハザード比 2.0095% CI 1.013.95P0.046).投与期間中に,重大な出血は,アピキサバン群の 6 例(2.1%)とプラセボ群の 3 例(1.1%)に発生した(ハザード比 1.8995% CI 0.399.24).癌を有し,化学療法を開始する中~高リスクの外来患者では,アピキサバン療法によりプラセボと比較して静脈血栓塞栓症の発生率が有意に低下した.重大な出血エピソードの発生率は,アピキサバン群のほうがプラセボ群よりも高かった.Xa因子阻害剤ではHokusai VTE Cancer試験・Select-D試験において,VTEがん患者の再発予防で低分子量ヘパリンに劣らないことをすでに証明している.高リスク患者での予防戦略においても,出血イベントとのトレードオフではあるが,VTE抑制効果を示した.リバーロキサバンでのCASSINI試験も同様の結果とみられる.本試験のLimitationsとしては,このような試験は癌腫によって大きく結果が影響を受けるが,この試験ではVTEの比較的起こりにくい婦人科領域,リンパ腫,膵臓がんが多く含まれていたこと.サンプルサイズが比較的小規模であること等が挙げられる.
(担当:飯尾、まとめ:石井)


2019年6月25日火曜日

2019年7月のJournal Club(Ver1.0)

【抄読会担当者 2019年7月】 
             2019年 7月3日  :太田(リハ科)
     2019年7月10日 :薬剤学生1
     2019年7月17日 :和田(研修医)
     2019年7月24日 :薬剤学生2
     2019年7月31日 :井部(呼吸器内科)

  7月最初は、初のチャレンジ太田先生です。
  研修和田先生は7月28日まで呼吸器内科ですので、17日に担当をお願いします。
  薬学実習生
     高野 峻輔
     吉川 雄磨
     古谷 穂花
   さんは、7月10日と24日2回ですが、担当をお願いします。
   (分担については、薬剤科で相談お願いします)。

     8月は、夏季期間でもありますので、1ヶ月おやすみになります。
     9月再開は、石井先生からのスタートです!
    
    
      順番は、適宜相談にて変更いたします。都合悪い場合は、ご連絡ください
                           (2019年5月16日Ver1.0)


2019年度チケット使用者
  石井先生4月1回
  


2019年6月19日水曜日

Influence of radiologic expertise in detecting lung tumors on chest radiographs.

今朝のJournal Clubの担当は、濵元でした。先日、石井先生の結婚式でお会いした高橋先生(放射線科医)の論文です。研修医と専門医の読影能力について差があるのか?です。最近は、簡単にCTを撮影する傾向にありますが、基本はやはりレントゲンのようです。基本を忘れずにしっかりとレントゲンを読むように心がけます!

Discussion
 研修医と専門熟練医師(胸部外科、放射線科、呼吸器内科)の比較では、予測通り専門医師がしっかりと読影できている結果でありました。研修医と比較ではなく、呼吸器専門医師と呼吸器専門以外の経験年数同じ程度の医師で比較した方が、医師診療としての経験年数バイアスは除けたかもしれない。しかし、現実的には診療科によってのバイアスも出てくる可能性もあり、教育的な意味あいで、研修医への教育の必要性を訴えるものとして、最終的な提言に繋がったと考えられます。
 呼吸器内科医師の、ミスジャッジが少なかったのがホッとした結果でもありました。
(担当;濱元、まとめ:濱元)

Abstract
目的:胸部レントゲン上の肺腫瘍の読影における放射線学的専門知識の影響を分析すること。
方法:外科的切除を受けた孤立性原発性悪性肺腫瘍の283人の患者から得られた後、胸部レントゲン写真とCT検査をで見直している。平均年齢67.0±9.1SD)歳(範囲:3388歳)の男性176人および女性107人がいた。胸部レントゲン写真の読影は、13人の1年次大学院生(PGY-1)と9人の肺専門医(3人の放射線科医、3人の胸部外科医、3人の呼吸器科医)が行った。研修生と専門家の間の検出率は、Studentt検定を使用して比較されました。
結果:検出された腫瘍の総数は
研修医群では10336.4%)から13648.1%)の範囲であり、
平均127.9±9.145.2±3.2%)、
専門家グループでは13748.4%)から18264.3%)の範囲であり
平均161.6±13.157.1±4.6%)
群間差は統計的に有意であった(P <0.001)。
10%以上の差を認めた抹消に位置する腫瘍の違いの指摘は、
(i)すりガラス陰影(GGO)比>10%かつ<70%かつ任意のサイズ
(ii)GGO比<10%かつサイズ<2センチ

縦隔、心臓または横隔膜により隠された腫瘍について
iGGO比<10%かつ<30%かつ大きさ> 3 cm
iiGGO<10%かつ大きさ> 2 cm

結論:我々の研究は、腫瘍の大きさ、GGOの程度、および腫瘍の位置に応じて、研修医と肺専門医の間での胸部X線写真での肺腫瘍の検出可能性における有意差を確認した。 




2019年6月18日火曜日

Respiratory Expert Meeting In Tokorozawa PartIII

今晩は、神戸市立医療センター中央市民病院の藤本先生と順天堂大学の宿谷先生をお招きして肺癌治療の講演をして頂きました。III期へのイミフィンジを使用しての治療戦略について藤本先生より、またEGFR-TKIの治療戦略について宿谷先生より勉強させて頂きました。防衛大川名教授はじめ、所沢中央病院の先生方や虎ノ門病院より宇留賀先生など多くの先生方が集まり勉強しております。アストラゼネカの皆さまにも大変感謝しております。ありがとうございました。





2019年6月12日水曜日

西部地区呼吸器カンファレンス

今晩は、COPDをテーマに、
開業医の立場からみるCOPD
病院勤務医から診るCOPD
救急医から診るCOPD
の3本での講演を開催致しました。
青柳先生からは、クリニックでの経験されるCOPDの3症例についてお話を頂きました。
藤倉先生からは、COPDのガイドライン含め診療上でのポイントについてのお話。
大原先生からは、埼玉県西部医療圏の救急の現状についてのお話を頂きました。