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2018年12月5日水曜日

Serious Asthma Events with Fluticasone plus Salmeterol versus Fluticasone Alone.

薬学学生中村さんの発表です。2016年少し前の、喘息治療についての検討です。

<背景>
喘息患者に対するSABALABAの安全性、使用適正に関しては未だ議論の残る領域である。
以前に報告された2つの試験(SNS,SMART)ではLABAの一つであるsalmeterolの使用により重篤な喘息関連イベントが出現するという報告をしている。特にSMARTではsalmeterol投与による呼吸関連死、喘息関連死がプラセボと比較して増加し、特に黒人にリスクが高いと報告している。
本試験では前向き多施設共同の二重盲検ランダム化試験を行い、salmeterol+fluticasone投与がfluticasone単剤投与と比較して喘息関連死のリスクが増大するかを検証した。更に、副次目標としてfluticasone-salmeterol投与をfluticasone単剤と比較して喘息治療の影響を評価した。


<方法>
対象:12歳以上の中~重症喘息の患者。1年以上の喘息歴があり、日々の投薬を必要とする患者。1年以内に増悪で入院歴があるか、全身ステロイド療法を行ったもの。
除外:10pack-year以上の喫煙歴があるもの、コントロール不良な喘息

以上の患者をランダムに1:1に割り付けた。1群はfluticasone+salmeterol、もう1群はfluticasone単剤投与を、ディスカスドライパウダー吸入器にて吸入した。

<安全性>
PE 最初の重症喘息関連イベント(死亡、挿管、入院)
<有効性>
PE:最初の重症喘息増悪(全身ステロイド3日間以上の投与、ないし喘息関連入院/時間が医受診によるステロイド使用)

<結果>


Fluticasone+salmeterol
Fluticasone
HR
喘息関連イベント
36イベント(34患者)
38イベント(33患者)
1.03
喘息関連死
0
0

喘息関連入院
34患者
33患者

挿管
0患者
2患者

喘息増悪
480/5834
597/5845
0.79

イベントは年齢、人種には関わりなかった。
9人が試験中に死亡(F+S群で3人、F群で6)したものの、いずれも喘息とは関係ないと考えられた。
喘息の増悪はF+S群においてどの年齢層であっても低かった。

<考察>
本研究では中等度~重症喘息で1年以内に増悪した既往のある患者において、salmeterol+fluticasoneの合剤がfluticasone単剤と比較して喘息関連イベントを起こす頻度はほぼ変わらないことが判明した。この発見は従来の試験やメタアナリシスと一致する。
いくつかのメタアナリシスではLABA投与と喘息関連死について、LABA投与がnonLABA加療と比較して死亡リスクを増加させると指摘している、しかしこれら試験ではICS併用に関して統一されていなかった。WetherallらはSalmeterol単剤投与では死亡率が症状することを示したが、併用療法においてはその限りではないと報告している。本試験でも、Fluticasonesalmeterolの合剤によって喘息関連死は報告されず、死亡リスクの上昇は認められなかった。
さらに、本試験にて、重症喘息の増悪頻度はFluticasonesalmeterolの合剤によって21%も低下させられることが判明した。特に青年期においては35%以上の低下を認めており、これも従来の報告に一致した。
色々な試験が、SABA,LABAの単剤投与が死亡リスクを上昇させることを報告している。しかしそのリスクはICSとの併用により、ある程度和らげられることが判明した。

Limitation
26週間という短期での試験であったこと。
中等~重症喘息の患者のみ登録しており、更にコントロール不良患者は除かれており実臨床とは異なる可能性
アドヒアランスが高く、実臨床にそぐわない可能性

<議論>
LABAの副作用である喘息関連イベントと、有効性である喘息増悪をどのように区別して判定したのかがわかりづらい
2年前の論文であり、現在ではICS/LABAは一般的と考えられる。
(担当;中村、まとめ:児玉)

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