カウンター

2018年11月14日水曜日

Comparative effectiveness of LABA-ICS versus LAMA as initial treatment in COPD targeted by blood eosinophils: a population-based cohort study.

研修医1年目の井上錬太郎先生が、呼吸器内科ローテ中での抄読会担当です。最近は、肺がん関連が多かったため、COPDをチョイスしたそうです。
COPDで血清好酸球上昇時の治療にICS/LABAの吸入薬を使用したときのLAMA吸入薬に対する優位性について、最新のThe Lancetの論文を紹介してくれました。

【目的と方法】
多くのLABAが吸入コルチコステロイドと一定の組み合わせ(ICS/LABA)で処方されるが、長時間作用型β2アゴニスト(LABA)および長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の推奨初期維持療法である。今回の論文の筆者らは、実臨床における潜在的なICS有効性のバイオマーカーである血液好酸球の増加数をひとつの指標として、LABA-ICSLAMA治療開始の有効性および安全性を比較した。 この研究では、英国のClinical Practice Research Datalinkから、LAMAまたはICS/LABAによる治療を開始するCOPD患者のコホートを、200215年に新たに診断した55歳以上の患者に特定している。両方の気管支拡張薬で治療を開始した記録のある患者は除外した。 全ての患者は、最初の気管支拡張薬処方の日付によって定義され、入院前の少なくとも1年間の病歴および血液好酸球濃度を用いた。LAMを開始した患者とICS/LABAを開始した患者で、高次元傾向スコア(hd-PS)のアルゴリズムを用いてマッチングし、中等度または重度のCOPD増悪および重度の肺炎の発生について1年間追跡調査した。感度分析には、血清好酸球濃度および喘息の合併および増悪の2つの要素での分析を繰り返した。
【結果と結論】
200211日から20151231日までLABAまたはLAMAの処方箋を受けた539 643人の患者のうちの18,500人がICS/LABA13,870人がLAMACOPDの治療が開始された。ICS/LABAが投与された12366人のうち、ほとんどがチオトロピウム(商品名・スピリーバ)で処方されていた。LABA開始に関連するCOPD増悪の危険度(HR)は、LAMA開始に対して、0.9595CI 090-101)であった。白血球数の2%未満の血液好酸球濃度を有する患者では、HR1.0395CI0.93-1.33)であり、好酸球濃度が2-4%である場合、HR100091-110)であった。好酸球濃度が4%を超える患者では、HR079070-088)であった。肺炎の発生率は、ICS/LABA開始(HR1.3795CI1.17-1.60))で増加し、好酸球の全濃度においてその発生率は同様であった。感受性分析はこれらの所見と一致したが、ベースライン時に2つ以上のCOPD悪化を有する24人の732人の患者のうち2766人(11%)のICS/LABAによる悪化の発生率はわずかに低かった(HR 0.87 [95 CI0.79-0.97])。現実の臨床研究では、ICS/LABA吸入器によるCOPDの初期治療は、高濃度の好酸球濃度(> 4%)または好酸球細胞数(> 300細胞/μL)の患者ではLAMAより効果的であった。ICSのステロイド成分による肺炎のリスクが高いため、好酸球濃度が4%未満の患者ではLAMAによる治療開始が望ましい。


抄読会での主な討論
・過去の論文にもあるような、ICSで肺炎が多いというのが今回も示されている。
・血清好酸球で肺の好酸球を見ているといえるのだろうか。血清で4%の好酸球って意味あるか。
 結局は、ICSの必要のないCOPD患者へのICS使用は、やはり控えるべきであるとの結果となった。(担当;井上、まとめ;石井)







0 件のコメント:

コメントを投稿