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2018年11月21日水曜日

First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer.


井部先生担当で、小細胞肺癌に対する免疫療法の臨床試験についての論文IMpower133試験です。統計学的な優位な効果は認めているが、果たして臨床的な価値はどれだけあるのであろうか?非小細胞肺癌と異なり、Tail plateauがない。層別化されると出てくるのか?

<背景>
ED smallに対する1stline としての標準治療はプラチナ製剤+エトポシドである。そのRR60-65%と高いものの、この20年での進展には乏しく、今でもmOS10か月程度である。一方で小細胞癌の変異率は高く、ICIが有効である可能性が示唆される。しかしphase2 pembrolizumab維持療法、phase 3 1st lineとしてのipilimumab+化学療法の2試験はいずれも優位な結果には至っていない。
Atezolizumabphase1試験において、安全性が許容でき、ある程度の効果が予測された。それを受け、本試験IMpower133ではED smallに対するatezolizumab+化学療法が化学療法に対しての有効性を評価した。


<方法>
対象: 未治療ED small,PS0-1、無症候性脳転移は許容された。
除外:自己免疫疾患、ICI既治療の患者

以上患者をCBDCA+ETP+Atezolizumab群とCBDCA+ETP群に1:1に割り付けた。
CBDCA+ETP4サイクル投与とし、atezolizumabは各サイクルの初日、及び維持療法として投与された。
放射線照射は維持療法中のPCIは許容するが、胸腔照射は許容されなかった。

PE OS
SEPFS,ORR
Explatory analysis:血中TMBを計測し、効果判定と合わせ評価した。

効果判定は毎6週ごとに行い、48週以降は9週おきの評価とした。

<結果>
403人が登録され、201人がatezolizumab群、202人がプラセボ群となった。


atezolizumab
placebo
HR
OS
12.3か月
10.3か月
0.7
1年生存率
51.7%
38.2%

PFS
5.2か月
4.3か月
0.77
AE
94.9%
92.3%

治療中死亡
3
3

死亡は肺炎、好中球減少などが原因と考えられた。

<考察>
phase3試験はCBDCA+ETPと比較してAtezolizumab併用群において明らかなOSの延長を認めた。1年生存率も13%近く上昇した。脳転移のある患者は、atezolizumab投与による有意差は認めなかったものの、患者数が少なく評価する事は不能である。
一方で65歳以下の患者では、atezolizumab群がより良好な成績となった(その原因は不明である)。また、サブグループ解析ではTMBの差によって、効果がほとんど変わらなかった。
Phase3試験では、本試験のほかipilimumab+化学療法の試験が行われているが、こちらは有意差を認めなかった。IpilimumabCTLA4阻害薬であり、atezolizumabの方がT細胞への影響が強い可能性、CBDCA+ETP T細胞の抗腫瘍効果を阻害しない可能性などが考えられるが、今後の更なる研究が必要である。

Limitation:なし
(担当:井部、まとめ;児玉)

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