今日は、薬学5年生実習生 金澤さんが解説してくれました。禁煙外来での長期代替療法行うべきか否かの検討です。
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2018年11月28日水曜日
2018年11月21日水曜日
First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer.
井部先生担当で、小細胞肺癌に対する免疫療法の臨床試験についての論文IMpower133試験です。統計学的な優位な効果は認めているが、果たして臨床的な価値はどれだけあるのであろうか?非小細胞肺癌と異なり、Tail plateauがない。層別化されると出てくるのか?
<背景>
ED smallに対する1stline としての標準治療はプラチナ製剤+エトポシドである。そのRRは60-65%と高いものの、この20年での進展には乏しく、今でもmOSは10か月程度である。一方で小細胞癌の変異率は高く、ICIが有効である可能性が示唆される。しかしphase2 pembrolizumab維持療法、phase 3 1st lineとしてのipilimumab+化学療法の2試験はいずれも優位な結果には至っていない。
Atezolizumabはphase1試験において、安全性が許容でき、ある程度の効果が予測された。それを受け、本試験IMpower133ではED smallに対するatezolizumab+化学療法が化学療法に対しての有効性を評価した。
<方法>
対象:
未治療ED small,PS0-1、無症候性脳転移は許容された。
除外:自己免疫疾患、ICI既治療の患者
以上患者をCBDCA+ETP+Atezolizumab群とCBDCA+ETP群に1:1に割り付けた。
CBDCA+ETPは4サイクル投与とし、atezolizumabは各サイクルの初日、及び維持療法として投与された。
放射線照射は維持療法中のPCIは許容するが、胸腔照射は許容されなかった。
PE: OS
SE:PFS,ORR
Explatory analysis:血中TMBを計測し、効果判定と合わせ評価した。
効果判定は毎6週ごとに行い、48週以降は9週おきの評価とした。
<結果>
403人が登録され、201人がatezolizumab群、202人がプラセボ群となった。
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atezolizumab
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placebo
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HR
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OS
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12.3か月
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10.3か月
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0.7
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1年生存率
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51.7%
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38.2%
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PFS
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5.2か月
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4.3か月
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0.77
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全AE
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94.9%
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92.3%
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治療中死亡
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3人
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3人
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死亡は肺炎、好中球減少などが原因と考えられた。
<考察>
本phase3試験はCBDCA+ETPと比較してAtezolizumab併用群において明らかなOSの延長を認めた。1年生存率も13%近く上昇した。脳転移のある患者は、atezolizumab投与による有意差は認めなかったものの、患者数が少なく評価する事は不能である。
一方で65歳以下の患者では、atezolizumab群がより良好な成績となった(その原因は不明である)。また、サブグループ解析ではTMBの差によって、効果がほとんど変わらなかった。
Phase3試験では、本試験のほかipilimumab+化学療法の試験が行われているが、こちらは有意差を認めなかった。IpilimumabはCTLA4阻害薬であり、atezolizumabの方がT細胞への影響が強い可能性、CBDCA+ETPが T細胞の抗腫瘍効果を阻害しない可能性などが考えられるが、今後の更なる研究が必要である。
Limitation:なし
(担当:井部、まとめ;児玉)
2018年11月20日火曜日
Onco-Cardiology Seminar
母校である、聖マリの腫瘍循環器学の講演会へお誘いいただきました。
免疫療法含め多くの癌治療薬が使え流ようになり、癌患者の生存も延長してきています。その中、治療関連による心臓関連疾患、もしくは治療なくても癌がある故に生じる血栓症など多くの心・血管性イベントが問題となってきます。この講演では、大阪国際がんセンターの向井先生の迫力ある講演を拝聴することができました。
今後の肺がん診療の中でも大きく関与していく必要性を感じる研究会でした。
2018年11月19日月曜日
所沢呼吸器疾患治療セミナー
国立国際医療研究センター国府台病院長 杉山先生をお招きしてのCOPD・喘息の講演会
本年は、COPD/喘息ともにガイドラインの改定がありました。
また、ICS/LAMA/LABAの3剤併用についての今後の立ち位置についても大きく議論のあるとことです。
双葉クリニックの小野田先生や石心会の小野田先生なども加わり、楽しく勉強させて頂きました。防衛医大の川名教授・藤倉先生・宮田先生、そしてベイリンガーの皆様に感謝です。
2018年11月14日水曜日
Comparative effectiveness of LABA-ICS versus LAMA as initial treatment in COPD targeted by blood eosinophils: a population-based cohort study.
研修医1年目の井上錬太郎先生が、呼吸器内科ローテ中での抄読会担当です。最近は、肺がん関連が多かったため、COPDをチョイスしたそうです。
COPDで血清好酸球上昇時の治療にICS/LABAの吸入薬を使用したときのLAMA吸入薬に対する優位性について、最新のThe Lancetの論文を紹介してくれました。
【目的と方法】
多くのLABAが吸入コルチコステロイドと一定の組み合わせ(ICS/LABA)で処方されるが、長時間作用型β2アゴニスト(LABA)および長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の推奨初期維持療法である。今回の論文の筆者らは、実臨床における潜在的なICS有効性のバイオマーカーである血液好酸球の増加数をひとつの指標として、LABA-ICS対LAMA治療開始の有効性および安全性を比較した。 この研究では、英国のClinical Practice Research Datalinkから、LAMAまたはICS/LABAによる治療を開始するCOPD患者のコホートを、2002〜15年に新たに診断した55歳以上の患者に特定している。両方の気管支拡張薬で治療を開始した記録のある患者は除外した。
全ての患者は、最初の気管支拡張薬処方の日付によって定義され、入院前の少なくとも1年間の病歴および血液好酸球濃度を用いた。LAMを開始した患者とICS/LABAを開始した患者で、高次元傾向スコア(hd-PS)のアルゴリズムを用いてマッチングし、中等度または重度のCOPD増悪および重度の肺炎の発生について1年間追跡調査した。感度分析には、血清好酸球濃度および喘息の合併および増悪の2つの要素での分析を繰り返した。
【結果と結論】
2002年1月1日から2015年12月31日までLABAまたはLAMAの処方箋を受けた539 643人の患者のうちの18,500人がICS/LABA、13,870人がLAMAでCOPDの治療が開始された。ICS/LABAが投与された12366人のうち、ほとんどがチオトロピウム(商品名・スピリーバ)で処方されていた。LABA開始に関連するCOPD増悪の危険度(HR)は、LAMA開始に対して、0.95(95%CI 0・90-1・01)であった。白血球数の2%未満の血液好酸球濃度を有する患者では、HRは1.03(95%CI0.93-1.33)であり、好酸球濃度が2-4%である場合、HRは1・00(0・91-1・10)であった。好酸球濃度が4%を超える患者では、HRは0・79(0・70-0・88)であった。肺炎の発生率は、ICS/LABA開始(HR1.37(95%CI1.17-1.60))で増加し、好酸球の全濃度においてその発生率は同様であった。感受性分析はこれらの所見と一致したが、ベースライン時に2つ以上のCOPD悪化を有する24人の732人の患者のうち2766人(11%)のICS/LABAによる悪化の発生率はわずかに低かった(HR 0.87 [95% CI0.79-0.97])。現実の臨床研究では、ICS/LABA吸入器によるCOPDの初期治療は、高濃度の好酸球濃度(> 4%)または好酸球細胞数(> 300細胞/μL)の患者ではLAMAより効果的であった。ICSのステロイド成分による肺炎のリスクが高いため、好酸球濃度が4%未満の患者ではLAMAによる治療開始が望ましい。
抄読会での主な討論
・過去の論文にもあるような、ICSで肺炎が多いというのが今回も示されている。
・血清好酸球で肺の好酸球を見ているといえるのだろうか。血清で4%の好酸球って意味あるか。
結局は、ICSの必要のないCOPD患者へのICS使用は、やはり控えるべきであるとの結果となった。(担当;井上、まとめ;石井)
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所沢に隣接する清瀬市の、呼吸器診療の主軸を置く東京病院へ、ご挨拶に行って参りました。所沢市の患者さまの多くは、東京病院にて診療をして頂いており、大変お世話になっている病院です。 大田健院長先生と小林信之統括診療部長両先生は、国立国際医療センターでの先輩であり、西埼玉中央病院...