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2018年10月10日水曜日

Influenza vaccination of cancer patients during PD-1 blockade induces serological protection but may raise the risk for immune-related adverse events

今回の担当は、感染管理認定看護師の坂木さんです。免疫療法を投与している癌患者へのインフルエンザワクチンを摂取した場合の反応についての検討でした。これから、冬に向けどのような反応を考慮すべきかエビデンスの少ない領域ですが、皆でも議論してます。

免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療の標準治療になり、一部の患者では長期寛解に至っている一方、免疫関連有害事象(irAEs)を誘発する可能性がある。インフルエンザウイルスに感染した肺癌患者は、合併症のリスクが高いことが示されている。しかし、チェックポイント阻害中にインフルエンザワクチン摂取の有効性と安全性、およびirAEに対するその影響は不明である。同様に、PD-1阻害剤投与中の患者におけるT細胞に関連した免疫反応に対するワクチン接種の影響は、依然として不明である。


<方法>
 3価不活化インフルエンザワクチンを使用し、23名の肺癌患者と年齢をマッチングした11人の健康な対照群として、チェックポイント阻害薬投与中患者でのワクチン投与により誘発される免疫反応と安全を調査した。
<結果>
3種類全てのウイルス抗原に対するワクチン誘発抗体力価における患者と健常対照群との間に有意差を観察しなかった。インフルエンザワクチン接種は、患者/参加者の60%以上において防御力価をもたらした。がん患者では、ワクチン接種後3.2ヶ月のirAE発症までの中央値で、irAEのワクチン接種後発症頻度は、52.2%であった。23例中6例(26.1%)が重度のGrade3/4irAEを示した。このirAEの頻度は、文献で以前に公表された割合や、当該施設の非研究集団で観察された割合(全グレード25.5%Grade3/4:9.8%)よりも高い可能性がある。

<結論>
 本研究は限られた数の患者を対象とし、RCTではないが免疫学的毒性の割合増加が懸念される。この知見より、より大きな患者集団での研究がされるべきである。

<抄読会での検討>
免疫チェックポイント阻害剤はPD-1シグナル伝達カスケードの遮断によりウイルス特異的免疫も増加するので、そもそもインフルエンザワクチンの接種が必要なくなる可能性もあるのではないでしょうか。
(担当:坂木、まとめ:石井)
《編集後記》
  今回、初めて石井先生がまとめをしてくれました。ワクチン接種により、ICI投与患者でも抗体価は有意差なく認めていた。しかし、有害事象としてSkin rashや関節痛を認めたまとめています。致死的な有害事象は多くはないようですが、慎重にワクチン接種はしていくことが望まれるようですね。濵元
 

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