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2018年10月24日水曜日

Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer

今回のJournal Clubでは、薬剤部の大越さん担当です。非小細胞肺癌症例におけるステロイド使用がPD-L1阻害薬の効果に影響を与えるかについての検討です。最新のJournal of Clinical Oncologyの論文からの抄読です。

《目的と方法》
PD-L1阻害薬での治療は肺癌標準治療となっているが、ステロイドの免疫抑制効果はPD-L1阻害効果も抑制している可能性がある。免疫関連の有害事象にステロイド治療を行うことが、PD-L1阻害薬の効果に影響を与えないことは分かっているが、ベースラインでステロイドを使用していることの影響は不明である。そのため、2つの施設、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(米)および Gustave Roussy Cancer Center(仏)において、後ろ向きコホート研究としてCox比例ハザード回帰モデルとロジスティック回帰分析を用いて多変量解析を行った。
《結果と結論》
Memorial Sloan Kettering Cancer Center(米)および Gustave Roussy Cancer Center(仏)において、それぞれ455名、185名、合計で640人の患者を抽出し、そのなかで89人(14%)はプレドニン換算で10㎎以上のステロイドを投与されていた。ステロイド投与の主な理由としては、呼吸症状(33%)、倦怠感(21%)、脳転移(19%)であった。ステロイド投与群と非投与群を比較すると、ステロイド投与群においてPSが低いほかは概ね違いを認めなかった。両病院ともに、ステロイド投与群では、PD-L1阻害薬による全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の悪化に関係していた。このことから、PD-L1阻害薬開始時のステロイドの慎重な使用が推奨される。

《抄読会での主な討論》
・プレドニン10㎎が投与群と非投与群で分けられているのは不自然。なぜ10㎎か
  →本文では10mg以上が臨床試験などでの除外基準等になっている
  →実臨床では、PSL10mg使用している患者は少ない。膠原病などはそもそも、現状では免疫療法の適応外と考えられる。
  →そもそも、10mg以上内服患者は状態が悪い患者群である( PSは癌関連の病態での評価のため)
PFSOSのカプランマイヤー曲線が綺麗すぎ。10㎎で分けると綺麗に出ただけでは
  →ROC curveでの検討も必要か?後ろ向き研究での検討であり、10mgが綺麗になる量であったのでは?
・投与群と非投与群のBaselinePSに差がありすぎる。他にも脳転移も差が大きい。
・倦怠感や呼吸困難などで割とプレドニンが手軽に投与されているのは日本と違う。

(担当:大越、まとめ:石井)

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