薬剤の福田先生の担当で、潜在結核についての海外他施設検討です。既存のINH9ヶ月予防内服治療が望ましいか、RFP4ヶ月がいいのか?
Backgrounds
INHの9ヵ月レジメンは、潜在性結核患者に対して活動性結核の予防をすることができる。しかし、毒性などの影響でアドヒアランスが悪いとされる。
Methods
9つの国際共同試験として、Open-label試験が行われた。潜在性結核感染者を無作為に、リファンピシン4ヶ月群とイソニアジド9ヶ月群に割り振り、28ヶ月間での活動性結核の有無を非劣勢試験として研究した。
Results
3443名の患者がリファンピシン投与群であり、活動性結核発症は4名であり、臨床的に活動性結核と診断されたのは更に4名であった。一方、イソニアジド投与群3416名では、活動性結核発症は4名であり臨床的活動性結核発症は5名であった。副作用では、146日以内のgrade3〜5の有害事象の発生率は、リファンピシン群が1.5%mであり、イソニアジド群の2.6%に比べ優位に低く認めている。肝障害では、リファンピシン群で優位に低く認めていた。
Conclusion
リファンピシンの4ヶ月レジメンは、活動性結核を予防には9ヶ月のイソニアジドレジメンと比べ非劣勢であった。安全性も容認される結果となった。
(担当;福田、まとめ:濵元)
Discussion
潜在性結核への治療とは、結核菌感染している者であり、活動性結核発病するリスクの高い人への治療介入を考慮することである。本治療指針では、下記のハイリスク感染者への治療介入を指導している。
米国では9ヶ月間のINH投与を推奨しているが、英国では6ヶ月間を推奨している。本邦では、INHの6または9ヶ月の治療と記されている。また、副作用や耐性の場合には、RFPを使用すると推奨している。
2010年には、既に9ヶ月INH療法と4ヶ月RFP療法について、副作用にかかる費用など総医療費としての研究報告がある。これによると、INH9ヶ月投与では肝障害などへ対する費用を考慮すると、4ヶ月間RFPの方が費用対効果的に望ましいと結論ずけている。Thorax. 2010 Jul;65(7):582-7. doi: 10.1136/thx.2009.125054.
今回のNEJMの論文結果では、副作用では肝障害でRFP群で優位に低い結果ともなっている。
いずれにしても、ハイリスク感染者へのいずれかの治療介入は慎重に行っていくことには変わりないようである。結核感染者中の活動性結核発病リスクに、生物学的製剤やステロイド投与患者が含まれている。今後は、肺癌免疫療法患者が、どのような対応になるかも検討が必要かもしれない。
(編集後記:濵元)
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