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2018年6月13日水曜日

Comparison of an Oral Factor Xa Inhibitor With Low Molecular Weight Heparin in Patients With Cancer With Venous Thromboembolism: Results of a Randomized Trial (SELECT-D).

本日も、薬学学生さんが抄読会を担当してくれました。以前の、エドキサバンに続く、リバーロキサバンでのDVTの臨床試験結果です。

<背景>
静脈血栓症(VTE)は担癌患者にて比較的よくみる疾患である。担癌患者の再発性VTEのリスクは、癌のない患者の2倍以上ともいわれており、こういった患者に対しては最低6か月の低分子ヘパリン(LMWH)が標準的治療とされている。しかし担癌患者への6か月以上にわたる長期間でのエビデンスには乏しい。
この10年で新たにDOACVTEに対して使用可能となっている。その中にはdabigatran,rivaroxaban,apixaban,edoxabanなどがあるが、これらは経口投与ができ、モニタリングを必要としないなどの利点がある。以前にもEINSTEIN試験などでribaroxabanLMWHとの比較試験があったものの、登録患者のうち担癌患者は5.5%であった。この事から我々は、担癌患者においてribaroxabandalteparinとでVTEの再発率に差があるかを評価した。
<方法>
Open-labelの多施設共同試験@イギリス

対象:VTE(DVT,PE)の診断をされた担癌患者。(担癌患者は6か月以内に診断された/6か月以内に治療された患者)
18歳以上、40kg以上、PS2以下、腎肝機能が正常な患者。

除外基準:
抗凝固薬、アスピリンなどを投与されている患者、肝機能不全の患者、出血のリスクが高い患者、コントロール不良のHTなど

Dalteparinは最初の30日間は200IU/kg(MAX18000IU)、その後150IU/kg5か月継続。
Rivaroxaban15mg 2T2Xを最初の3週間、その後20mg 1T1X6か月目まで継続。

PEVTEの再発
SE:重大な出血事象、重大ではないが臨床的に問題となる出血事象(CRNMB)

<結果>
最終的に406人がランダム化に参加した。203人ずつがdalteparin群、rivaroxaban群にそれぞれ割り付けられた。


Dalteparin
Rivaroxaban
HR
VTE再発
18(11%)
8(4%)
0.43
重大出血
6(4%)
11(6)

CRNMB
7
25


出血として多かったのはGIであり、CNS出血は認めなかった。

<考察>
本試験ではrivaroxabandalteparinと比較して再発性VTEのリスクを下げる事を示した。EINSTEIN試験でrivaroxabanLMWHと比較しても非劣勢であることが報告されており、CLOT試験ではdalteparinLMWHと比較してVTE再発を50%減らしたと報告されている。この事から、rivaroxaban投与によるVTE再発リスクは低いことが予想でき、実際試験結果では4%とリスクを下げる事に成功した。
SEとして重大出血、CRNMBについても評価したが、特にCRNMBに関してはdalteparin3倍のリスクがあった。
以上の点より、リバロキサバンは担癌患者のVTEに対してはLMWHの代替として有効である一方、出血のリスクは挙げることが分かった。経口内服ができる点は連日の点滴より明らかに便利であり、今後の治療方針に期待が持てると考える。

Limitation
患者数登録が予想よりも時間がかかった点
試験自体が6か月であり、それ以上の治療に関しては不明な点がある。

(担当:加世田、まとめ;児玉)

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