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2017年10月11日水曜日

Cost-Effectiveness Analysis of Afatinib versus Gefitinib for First-Line Treatment of Advanced EGFR-Mutated Advanced Non-Small Cell Lung Cancers.

今回は、呼吸器科の濵元が担当です。
以前、免疫療法が認可された時に議論になった、費用対効果についてです。
免疫療法ではなく、TKIでのLL-7での議論についてafatinibが優れているか?の検討された論文です。
<背景>
肺がんはフランスでも年間39495人が新規に罹患(2012)し、NSCLCで平均2万ユーロのコストがかかるとされており現在もその費用は上昇傾向となっている。近年スタンダードとなったEGFRTKIはプラチナ製剤と比較し、PS,QOLの他、コスト面でも優位であることが報告されている(2013EURTAC試験)
LUX-Lung7試験では不可逆性のErbBファミリー阻害剤であるafatinibと、可逆性EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるgefitinibと比較して良好なPFSであることが報告されており、OSでも良好な傾向を示した。本研究ではフランスの病院にてafatinibgefitinibのコストと患者の結果について検討した。
<方法>
データは、LUX-Lung7head-to-headPhase2b試験である、EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者afatinibgefitinibの試験結果より分析した。
 LUX-Lung7
無治療の進行NSCLCかつEGFR遺伝子変異陽性でcommon mutation(del19, L858R)の患者をafatinib40mg/daygefitinib250mg/dayに割付して、病勢進行まで投与している(beyondは、主治医判断で認められている)。PFS, Time to treatment failure, OSco-primary end points として評価された。また、副次的評価項目(secondary endpoint)として、RR, AEs, QOLが評価された。その結果Afatinibgefitinibに比較して統計学的優位にPFSの延長を認めた。

本研究のモデルとして、partitioned survival modelを作成した。そのパラメータとしてはPF phase, PD phase, 死亡phaseを用いた。
治療に使った経費、出現したAEに対する治療費などは、French National Health AuthorityDiagnosis-related group などの一般的なコストを元に算出し、その他処置費用なども公的医療機関での費用を元とした(フランスの開業医は追加費用を請求することができるため)

<結果>


ITT集団
Del19
L858R
延長した生存年数
0.249
0.257
0.247
獲得したQALY
0.170
0.171
0.174
ICER
7697
6668
9148


AE費用は、治療群とすべてのシナリオの合計費用の3%未満を占めた。ITT集団、del19サブグループ、およびL858Rサブグループのそれぞれに対するafatinibgefitinibICER
     ITT母集団 €45,211
     Del19      38,970
     L858R     52,518
であった。
 <考察>
共通EGFR変異のITT集団およびdel19およびL858R亜群のITT集団についての第一選択としてafatinibgefitinibICERがそれぞれ€45,211、€38,970、および€52,518であることを示した。
LUX-Lung 7は、NSCLC患者の2つのEGFR TKIを比較する最初のhead-to-headランダム化試験であった。その結果としてafatinib使用群で良好なPFSが示され、一般的なEGFR変異、特にdel19突然変異を有するNSCLCのファーストライン治療としては、afatinibが最良の治療選択肢であると考えられた。

Limitation
Pt化学療法後の非進行患者のため、維持療法は、このコスト効果分析に含まれていない。
・実際の生活では、患者が23回連続して治療を受ける可能性があるが、我々のモデルはBSCとして要約されている。

<感想>
本研究でgefinitibと比較してafatinibの方が良好なPFSであることに加え、コスト面でも優位であるとの結果が出た。しかし、すでにアメリカではgefitinib,erlotinibに関しては半額以下のジェネリックが発売されており、そもそも海外の実臨床では参考にならない報告かもしれない。また、来年にはEGFR変異陽性に対するosimertinib1st lineが可能となると思われ、効果面を考慮すると従来のTKIの使用頻度は下がってしまうと考えられる。今後どのようにして従来のTKIが使用されていくこととなるか注視していく必要があるだろう。

(担当:濵元、まとめ:児玉)

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