本日のJournal Clubは理学療法士の太田先生が、「COPD入院患者に対する自己管理支援プログラムの有効性」について、2018年11月12日JAMA掲載論文のEditorialを中心に紹介して下さいました。原論文のまとめをまずは掲載します。
【目的と方法】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)入院患者は退院後再入院率が高くQOLが低下するが、長期自己管理のための疾患管理支援と移行期支援を組み合わせたプログラムは有効といえるだろうか。Johns Hopkins School of MedicineのAboumatarらは、COPD入院患者とその家族介護者を対象とした移行期における長期自己管理支援のための3ヶ月のプログラム(BREATHE)の有効性を検証するRCTを行った。慢性閉塞性肺疾患(COPD)入院患者240例を対象に、通常ケアと長期的自己管理プログラムの併用効果を退院後6カ月間の単施設無作為化試験で検討した。一次アウトカムは、6ヶ月時の参加者1人あたりのCOPDに関連する急性ケアイベント(入院および救急受診)であり、介入は訓練を受けたCOPD看護師によって行われた。具体的には、入院時に患者・家族介護者・COPD看護師のミーティングを行い、COPD看護師は、地域社会でのリソースアクセスを含め、COPDを抱えて生活している患者の直面する多様な問題の解決を支援した。
【結果と結論】
退院後6カ月時点での患者1人当たりのCOPD関連救急治療(入院および救急外来受診)の平均回数は、介入群0.72回、対照の通常ケア単独群1.40回だった(差0.68、95%CI 0.22-1.15、P=0.004)。健康関連QOLの評価尺度SGRQ総スコアの6カ月時点での平均変化は、介入群-1.53点、通常ケア群+5.44点だった(調整後の差-6.69、95%CI -12.97--0.40、P=0.04)。つまり、介入の一次アウトカム有効性が示された(0.72 vs. 1.40、P=.004)。一方で健康関連のQOLスコア(St. George's Respiratory Questionnaire:点数が高いほどQOL不良)は介入群で6ヶ月間平均でマイナス1.53ポイントと改善を示したが、対照群ではプラス5.44ポイント悪化したことがいえる。今回の介入方法などは概ねJohns-Hopkins方式ともいえる独自の形式のものであり、単一施設RCTでの有効性であり、他の設定でも再検証されるべきである。
【抄読会での主な討論】
・ Editorialの紹介は初めてだが、発表する方も聞く方も、やはり原論文の知識がないと読み込むのは非常に難しい。その意味で良い勉強になった。
・ 教育的な介入群で改善を見せるのは当然といえば当然。RIZAPみたいな話だ。
・ COPDは糖尿病のように多くの薬剤や吸入デバイスなどが出てきており、その意味では患者教育が大事と言っている内容と言える。
(担当:大田、まとめ:石井)
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