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2019年3月6日水曜日

Japanese subgroup analysis of a phase III study of S-1 versus docetaxel in non-small cell lung cancer patients after platinum-based treatment: EAST-LC.

今回は、薬剤部:福田先生の担当で、先日Publishされた日本人sub解析について解説をしてもらいました。最近は、ICIの話題が多く、TS-1についてあまり話題に登らない印象です。しかし、S-1は大変良い薬であり、上手に使用することが、もっと研究されてもいいのかなと個人的に思います。
(LETS studyでは、2投1休の処方であり、CATS studyでは、3投2休の投与方法である。)
<考察>
TS-1投与はDTXTKI以外の他の抗癌剤と比較すると経口内服である点から非常に簡易であり、患者の負担も比較的少ない為使いやすいと考えられる。しかし内服であるゆえに薬剤師のチェックが入らず、腎機能評価を間違えるリスクが存在する。また、42休のフォローが困難な一方、入院するほどの副作用も少ないなどの問題もある。しかしPSの悪い2,3次治療としては副作用の面から使いやすいことは確かであり、今後の選択肢として前向きに使用されていくこととなるだろう。(By 児玉)

<背景>
現在NSCLC患者に対する治療ガイドラインは、oncogene driverがなければプラチナダブレットが1次治療として一般的である。そして2次治療としては、non platinumであるドセタキセル(±ラムシルマブ)あるいはペメトレキセドが使用されている。しかしICITKIが無効の際の治療方針に関し、更なる選択肢が必要とされている。
S-1はテガフール、ギメラシル、オテラシルの配合剤である。日本でのphase3未治療NSCLCに対し、CBDCA+S-1CBDCA+PTXと比較して非劣勢であることが示されており、同様に未治療NSCLCへのCDDP+S-1CBDCA+DTXに対し非劣勢であることが示された事からプラチナ製剤とS-1の併用療法は1次治療として十分検討に値するものとなっている。
 EAST-LCはランダム化オープンラベルのphase3試験であり、東アジアの国を対象にS-1DTX単剤療法と非劣勢であることを示した試験である。本研究は日本人サブグループでのS-1DTXの比較を行った試験である。
(担当:福田、まとめ:児玉)


<方法>
対象:20歳以上のstageB以上のNSCLC患者、PS22次治療以降

登録患者を11に割り付け、S-1群、及びDTX群に分けた。
S-1は経口投与とし、12回内服を4週、その後2週休止とした。投与量は体表面積に応じ80,100,120mg/bodyで投与した。

PEOS
SEPFS,RR,QOL,AE

<結果>
日本人患者はS1 361人、DTX 359人が登録された。EGFRTKIの投与歴、全治療数、組織系などはほぼ均等に割り付けられた。


S-1
DTX
HR
OS
13.4か月
12.6か月

PFS
2.9か月
3.0か月
1.04
RR
9.4%
10.3%


QOLとしてはS-1群でやや良好な結果だった。
副作用としては、DTXにおいてneutropenialeucopeniaが多く、S1群において食思不振、下痢が多かった。

discussion
本試験ではDTXの日本標準投与量である60mg/m2と、S-1の経口内服がほぼ同様の効果を示した。サブグループ解析ではあるもののS-1投与が十分な臨床的メリットがあることが示された。本試験は化学療法併用後のS-1治療が樹分な効果を示すことを示した最初の前向き試験であり、2次治療以降のS-1投与という選択肢が十分期待できるものと考えられる。

limitation
本試験はsubgroup解析である。
本試験登録時にはDTX+RamレジメンやICI治療は導入されていなかった。


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