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2019年2月6日水曜日

Reduced need for surgery in severe nasal polyposis with mepolizumab: Randomized trial.


今回は、濵元の担当です。最近、外来にて多くの慢性咳嗽患者さまの紹介頂いております。好酸球性副鼻腔炎と喘息の合併患者に対しての抗体治療について考えてみました。手術治療の前に、難病申請してしっかりと抗体治療を行なって見るべきなのかもしれません。ただ、長期経過が不確定なのかもしれませんが。

<背景>
慢性副鼻腔炎は欧州でも比較的コモンな疾患であり、それによりQOLの増悪や睡眠、精神的な健康等にも影響し、職場の長期離脱にもつながる疾患である。好酸球性副鼻腔炎に対する治療としては経鼻・経口ステロイドや長期抗生剤、手術などが一般的である。しかし最終的に手術に至るケースも多く、手術を行ったとしても8年以内の再発率が15%程度と決して低く無いことが知られている。抗IL-5抗体であるmepolizumabは現在鼻ポリープに対する治療として注目されている。本研究ではmepolizumab投与による手術必要性の減少が見られるかを評価した。

Method
多施設のランダム化二重盲検試験。

対象:18-70歳の手術が必要な再発性鼻ポリープの患者。
内視鏡的鼻ポリープスコアが3点以上かつVAS score7点以上

除外:高容量ステロイドが必要な患者、4週以内に喘息増悪にて入院している患者

以上をmepolizumab 750mg 群とプラセボ群にランダム化した。3か月以上の経口ステロイド治療にて対象グループを標準化した後、登録し、4週おきに計6回投与とした。

PE:投与25週までに手術の必要性がなくなった患者数(手術適応は内視鏡的な鼻ポリープスコア、VASスコアなどを元に定められている)
SE:各時点での手術を必要とする基準を満たす患者数、VASスコアの変化、個人の症状VASスコア、本人症状など

<結果>
107人の患者が登録された。(mepolizumab54人、プラセボ53)


Mepolizumab
プラセボ群
P
手術で適応がなくなった患者数
16/54 (30%)
5/51(10%)
0.006

VAS scoremepolizumab群において治療差が-1.8であった(ITT 95%CI -2.9~-0.8)
Mepolizumab投与による副作用は、治療群間でほぼ同等であった。最も頻度の多かったものは頭痛、鼻咽頭炎であり、いずれもプラセボ群に優位に多かった。

discussion
本研究によりmepolizumab投与によってQOL関連SNOT22、症状などがプラセボ群より明らかに改善を認めることが示された。症状の改善は投与から9週目より徐々に明らかになった。Mepolizumab投与により難治性鼻ポリープ症の患者の手術の必要性を減少させることができるかもしれない。

Limitation
治療期間が6か月までであり、より長期間での有効性を考慮する必要性がある。
また、mepolizumab の投与量が750mgであったのは、試験開始時点での使用可能量がこれだけであったからである。今後は100mg/4週ごと、という投与方法になるかもしれない。

結論として、本研究によりmepolizumabが局所ステロイドで治療された重篤な両側鼻ポリープにおいて、手術を必要とする患者数を優位に減少させ、その症状も改善することを示した。

<考察>
Mepolizumab17万円/回という高額であり、一般的に投与を継続し続けることを考えるとかなり高額な出費となる。一方鼻副鼻腔炎(片側)の手術が5万点程度、大体1週間程度の入院であり、リオペの頻度もそれほど高くないようである。どちらが患者にとって有益かを考慮する必要はあるだろう。しかし症状が改善することは事実であり、今後の薬価改定でより安価になることが期待される。
(担当:濵元、まとめ:児玉)



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