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2019年2月20日水曜日

Atezolizumab Treatment Beyond Progression in Advanced NSCLC: Results From the Randomized, Phase III OAK Study.Atezolizumab Treatment Beyond Progression in Advanced NSCLC: Results From the Randomized, Phase III OAK Study.

今回は、呼吸器内科の児玉先生がatezolizumabのOAK試験のBeyond PD以降の効果についての追跡結果の報告をまとめてもらいました。
本解析はOAK試験に参加した患者のうちatezolizumabTBP群とその他抗癌剤への変換群(NPT)BSC群における効果及び安全性を評価したものです。


<考察>
MajorityがSD評価患者での継続atezolizumabであり、主治医の選択バイアスが強く、正確な評価としては困難と考えられる。後解析の結果なので限界なのであろう。RECISTの評価自体がICI治療において適していない可能性があるのは事実だが、imRECIST自体は現在進行中の臨床試験でも頻繁には適応されておらず、客観的評価としては適切かどうか疑問が残る。本文にもあるように、psudopregressionなどを加味した評価の方法が求められる。

<背景>
近年、PDL1をはじめとする免疫療法は肺癌の治療方針を大きく変換した。アテゾリズマブはPDL1を豹的とするヒトモノクローナル抗体である。PDL1を阻害することによりPD-1B7.1受容体を阻害し、自己の免疫系を再活性化することでがん細胞を破壊する。この作用機序により、画像上のPD以降における効果も期待することができる。こういった背景もあり、OAK試験ではアテゾリズマブ群はRECISTに基づいた画像上のbeyond PDが許容された。RESICTに基づいたPFS,ORRが抗癌作用のendpointとして一般的である一方、ICI使用時において必ずしも全生存率を反映するとは限らない。これを根拠としてメラノーマに対するipilimumabの投与はir resoponce criteriaを導入されている。画像上のendpointOSの不一致は高PDL1抗体においても認められており、特にNSCLCに対する単剤療法においては顕著である。NSCLCに対するAtezolizumabdocetaxelのランダム化phaseⅢ試験であるOAK試験では、PFS/ORROSにおいて不一致が認められている。同様の所見がPOPULAR phaseⅡ試験でも認められている。これらの結果から、atezolizumabpost progressionに対するPD後治療(treatment beyond PD=TBP)としても効果がある可能性が示唆される。しかしながら、この不一致が起こる原因や患者背景、TBPに対する安全性や有効性に関してはより調査が必要な段階である。本解析はOAK試験に参加した患者のうちatezolizumabTBP群とその他抗癌剤への変換群(NPT)BSC群における効果及び安全性を評価した。



(担当:児玉、まとめ:児玉)
Method
OAK試験はランダム化open label国際共同phaseⅢ試験であり、stage b以降のNSCLC患者の2nd line以降としてatezolizumabの効果、安全性をdocetaxelと比較した試験である。EGFR,ALK変異のある患者はそれぞれのTKIを事前に使用した既往があることが求められた。
Atezolizumab群:1200mg/3週のfixed dose
Docetaxel群:75mg/m2/3

Atezolizumab群では主治医判断で患者に対して臨床的に意義があること、更に継続に対するプロトコル基準(増悪している所見、明確なPDPDに伴うECOG PSの増悪、及び患者に対する他治療の選択肢の十分な説明がない)を満たしていれば、beyond PDとして投与を継続することが許容された。
Atezolizumab群はRECISTの評価の他、imRECISTでの評価も行った。

Docetaxel群ではPDないし許容できないAEが出現した場合は治療終了となった(TBPは認められていない)。両群において、治療中止後も3か月毎にNPTを評価しOSまで継続された。Docetaxelからatezolizumabへのクロスオーバーは許容されなかった。

・画像評価は6週ごとに半年まで、以降は9週ごとにPDまで評価され、TBPでは6週ごろに評価を継続した。

Outcome
Atezolizumab群ではORR及びPFSimRECIST(immune modified RECIST)RECISTにて評価され、比較された。
AE評価は投与初日から治療終了後30日間にわたりフォローアップされ、重度のAEに関しては生存中フォローアップとなった。PD前後に分け、AEは評価されている。(postPDPD後最初の投与以降としている)

<結果>
OAK試験で報告されたようにITTにおいてatezolizumabdocetaxelと比較して良好なOSを示しており、それがPDL1発現のレベルに関わらない事が示されている。本試験のTBPに関しては850人が評価された。そのうちatezolizumab群が425人、docetaxel群が425人と割り付けられた。
各治療群において、患者群の特徴は均等であった。


atezolizumab
docetaxel
Cutoff時点のPD
332(78%)
290(68%)
DTX群のPD割合はatezolizumab群より低いが、その一因にPD前の撤退が多かったためである。

imRECIST vs RECISTでは
ORR16% vs 14%imRECISTの方が良化、PFS4.2か月 vs 2.8か月で良化


atezolizumab
docetaxel
PDOS
8.6か月
6.4か月
PD18か月時点生存率
26%
18%






Atezolizumab群において
    TBP、②その他治療、③BSCのサブグループに分類されたが、それぞれの患者群を比較すると
TBP群はPDL1発現がより高値であった
BSC群はPS1の率が高かった
PD時点においてTBP群の方がNPT群と比較して脳転移率が高く、PSの悪化が少なかった。
TBP群はNPT群よりPFSが短く、ORRはほぼ同じであった。

TBP群>
atezolizumab投与の中央値は3サイクル
168人のうち、17(10%)postPDとして12か月以上の投与が行われた。
12(7%)PD時点でリセットしたtarget lesionの縮小(ベースから30%以上)を認め、49%(83)SDであった。

縮小を認めた12人は、5人が24週後も30%以上の縮小を保ち、そのうち3人は1年以上にわたり30%以上の縮小を継続した。また2人は新規病変が出現し、1人はtarget以外の病変の増悪を認めたが、この3人はいずれも36週目以降の出来事であった。

postPDOSを評価すると、

TBP
NPT
BSC
患者数
168(51%)
94(48%)
70(21%)
OS
12.7か月
8.8か月
2.2か月
18か月時点の生存率
37%
20%
9%

Docetaxel群におけるPD後は

NPT
BSC

患者数
167(58%)
123(42%)

OS
9.6か月
3.7か月

18か月生存率
25%
8%

Docetaxel群の中には免疫治療を行われた患者(65)があり、その患者のPD後のOS17.3か月であった。(NPT群は7.5か月)18か月生存率は42%,12%であった。

AtezolizumabTBPによるAEは、PD前と変わりなかった。
原因に関わらない重症AEの率はpostPDにおいて明らかに高率であったが、治療に関連すると思われるAEは変化なかった。

discussion
本試験の目標はpostprogressionにおける患者の予後を見ることであり、特に画像上のPDOSの関係性、及びbeyondPDatezolizumab投与の効果を評価するものである。
Postprogressionにおける評価は従来の化学療法と異なり、免疫反応までの時間の遅れなどが考えられる。肺癌以外の領域においては、尿路上皮癌、RCCmelanomaにおけるnivolumabなどでもpostPDの解析が進んでいる。

RECISTと比較するとimRESICTでは若干のPFSの延長が認められた。これはほかのatezolizumabの試験でも認められている。imRECISTPD前に評価するものであるが、今回はpostPDにて評価を行った。postPDにおいてはほとんどの患者がSDあるいはPRに収まっている。この事から、postPDにおけるTBPは十分な抗腫瘍効果を持ち、腫瘍増大の遅延、さらには停止が可能なものと考えらえる。
TBPで投与することの安全性に関しては問題がなかった。但しこれはPDまでに重篤なirAEがないことがTBPの条件であったためのバイアスが否定はできない。因果関係によらない重篤なAEの増加は恐らく患者本人の臨床状態の増悪を示唆していると考えられ、TBP前にも出現しうるものであったと考えられる。
DTX群におけるpostPDは行えないこととなっていたため、PPPSatezolizumab特有の現症かどうかは評価ができない。またDTX群のpostPD免疫療法のOS17.3か月は従来の化学療法と比較して明らかに長いものの、crossoverによるOSカーブの改善はatezolizumab投与群と比較してしまうと劣っていた。そしてこの群はPost PDを投与できる選択バイアスがかかっている。

Limitation
後ろ向き解析である、beyondPDの際の選択バイアス及びsubgroupでの集団の不一致

<結論>
Atezolizumab TBPRESISTではPDと判定されたものの、それにかかわらず良好な成績を収めた。この事から2次治療以降のatezolizumab投与のendpointとして RESISTによる設定は必ずしも正確でない可能性がある。今後、PD時点での継続投与、及び中止群でのランダム化試験が必要と思われる。

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