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2019年1月23日水曜日

Proactive Use of High-Flow Nasal Cannula With Critically Ill Subjects.

今回の担当は、感染症ナース坂木さんの担当で、ネーザルハイフローを使用しての有害事象を軽減できるかの検討です。しかし、コストが・・・ICUならいいのですが・・・

<背景>
高流量鼻腔カヌラ(HFNC)を使用することで急性期の低酸素血症の第一選択として提案されている。弱陽圧をかけ、CO2を洗い流すことで呼吸労作の減少とする。
本研究の目的はプロトコル化されたHFNC使用がICU患者における計画外挿管、有害転帰を減少させるかどうかを明らかにすることである。

Method
2群の前向きコホート研究、単施設の研究。
各コホート群の対象群はプロトコル前の期間にHFNCを受けた患者を後ろ向きに調査した。

コホート1(n=88)
24時間以上の人工呼吸器管理を受けた患者とした。
・抜管後に50L/minの流量でHFNCに移行し、SpO2 92%を維持するよう設定した。
FiO240%4時間以上維持できた場合、HFNCを終了し低流量酸素とした。

コホート2(n=83)
・酸素上要求量が増大した患者でHFNCを使用した患者を対象とした。
SpO2 92%を維持するため、初期HFNC50L/minで開始し経過観察とした。

Primary Outcome
予定外挿管⇒コホート1は抜管後72時間以内に再挿管した時、コホート2ではHFNC開始から72時間以内に呼吸器挿管となった場合を予定外挿管とした。
<追加Outcome
死亡率、病院/ICUの滞在期間、肺感染症


<結果>

コホート1
コントロール
優位差
予定外挿管
11%
10%
なし
再挿管までの中央値
46%減少

なし


コホート2
コントロール
p
ICU日数
4
3
0.03
入院日数
12
8
0.007
死亡率
21%
28%
有意差なし

discussion
HFNCのプロトコール化して検討した場合、2つのコホートで予定外挿管の割合は対象群と有意差を認めなかった。しかし、入院期間、ICU入室期間に関してはHFNC利用により短縮を認めた。また、コホート1群では感染症が劇的に減少した。更に、HFNC群の方が増悪から挿管/再挿管に至るまでの時間ロスが短く、プロトコルによって患者状態への早期介入が可能となっていた可能性がある。
また、気管支拡張薬の使用は両コホート群共に減少した。この事からHFNCの使用により必要ない薬剤使用も減らすことができると考えられる。

Limitation
・コントロール群が後ろ向き選択であり、正確なマッチングは行っていない。
・培養検体の採取などで人為的な手技が介入しているため、必ずしも正確とは言えない。
HFNCは一般病棟で利用できないため、ICUに入室している重症患者のみが対象となっている。
・サンプルサイズが少数である

<考察>
HFNCが、特に抜管後の患者にとって有効であることは以前から指摘されている。挿管時と比較してVAPが少ない点、患者への負担が少ない事(食事摂取も可能)、などから近年ICUでの使用は増加している。しかし日本において10L/min以上の酸素投与は保険適応外となっている。また、在宅酸素療法においてもHFNCは使用不能(Max 5Lまで)であり、安易に乱用すると医療資源的にも問題となることが予想される。治療有効性と医療資源の問題をどうするか、今後の厚労省の判断を待つこととなる。

 (担当:坂木、まとめ:児玉)

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