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2019年1月9日水曜日

Angiotensin converting enzyme inhibitors and risk of lung cancer: population based cohort study.

今回は、薬剤部の大越さんが解説してくれました。降圧剤のACEIが肺癌のリスク因子となり得るのか?
興味ありますが、内容は微妙なAir感でした。

<背景>
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)は高血圧の治療に使用される薬である。比較的安全であることが示されているが、長期使用は癌のリスク増加と関連している可能性が報告されている。ACEIの使用により肺にはブラジキニンが蓄積し、肺癌の増殖を促進すると考えられている。これまでの無作為化比較試験のメタアナリシスではACEIによる発がん率は増加していなかったものの、追跡期間が短期であり、集団も小規模であった。従って我々は、ARBと比較してACEIの使用が肺癌のリスク増加と関連するかを検証した。

Method
対象:1995年~2015年に新規に降圧薬治療を開始したPt18歳以上
除外:癌の既往のある患者、登録後の追跡調査が1年未満の患者

以上の条件の下、ARBACEI及び他の降圧薬を使用した患者群で発がん率を評価した。

<結果>
992061人の患者がコホートに登録された。うち、335135人がACEI29008人がARBにて治療された。ACEI群ではARBと比較して男性の割合が多く、現喫煙者・アルコール障害が多く、BMIが高い患者が多かった。


ACEI
ARB
調整HR
イベント(人年)
1977139
213557
1.14
5年未満の肺癌リスク


1.10
10年以上のリスク


1.64

discussion
ACEI使用は肺癌のリスク増加と相関しており、5年間の使用後より顕著となった。以前のメタアナリシス研究でははっきりした関連は認められていなかったが、これら調査は長期の有害事象を評価するのに十分な追跡期間を設けていなかったと考えられる。
本研究は100万人近い患者を平均6.4年間にわたり追跡した大規模な試験である。一方で重要な交絡因子は調整したものの、社会経済的地位・食事・アスベスト暴露歴・肺癌家族歴などの情報は欠けていた。更に喫煙の期間と強度に関する情報が不足していたことも発生率に関連する可能性がある。
本大規模研究はACEIの使用は肺癌リスクの上昇と関連していた。今回観察された影響はさほど強くないものの、小さい左葉が結果として多くの患者を生み出す可能性があるため、これらの知見を他の疾患でも確認するべきだろう。

<議論>
・登録人数は多いものの交絡因子が非常に多く、その中に喫煙歴なども含まれるため一概にはACEIの肺癌発生リスクを結論づけることは困難。
ACEI群とARB群の比較試験だが、両群の患者数に差がありすぎるため結果としての説得力に欠ける部分がある。Propensity score matching等により症例数を削減してでも整合性を取ってもよかったのではないか。
(担当:大越、まとめ:児玉)

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