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2018年4月4日水曜日

Outcomes in patients with non-small-cell lung cancer and acquired Thr790Met mutation treated with osimertinib: a genomic study.

井部先生が担当で、台湾からのAURA試験についてのまとめです。遺伝子変異のシェダー群がより予後が良さそうだという報告でした。

<背景>
OsimerutinibAURA試験で承認された第3世代のEGFRTKIである。OsimerutinibNSCLCEGFRTKIの前治療を行った後T790M耐性を獲得した患者に対し、高い抗腫瘍効果を持つ。いくつかの論文ではosimerutinibへの耐性機序としてKRAS,BRAF,MET,HER2,C797Sなどの遺伝子変異があることを報告している。また、AURA試験では血漿中にT790M変異やEGFR activating mutation(del 19L858Rなど)がある場合、osimerutinibが有効であることを報告している。しかし実際に何が有効かははっきりしていない部分もありOsimerutinib耐性腫瘍に関して、組織・血漿中の遺伝子学的な特徴の研究が現在必要とされている。今回我々はAURA試験におけるT790M耐性を獲得したNSCLC患者の臨床学的な予後を評価した。

<方法>
対象: AURA試験に登録された患者のうちNational Taiwan University Hospitalで登録された患者。EGFRTKIの前治療があり、Osimerutinib投与前よりT790M耐性化した組織ないし血漿が証明されたもの。

Osimerutinibの量は20,40,60,80,160,240mgを毎日投与された。

すべての患者から血漿サンプルを、投与前・投与中6週間おき・PD時点、で採取した。
Shedder:血漿中にEGFR activating mutationが確認できた患者
⇒血漿中Activating mutation(+)T790M(+)ないし(-)
Non Shedder:血漿中にEGFR activating mutationがない患者
       ⇒Activating mutation(-)T790M(-)

<結果>
AURA試験の73人の患者のうち、53人がTKI全治療を行ったのちT790Mが発現していた。
前治療数の中央値は5
Osimertinibの治療で、26(49%)1か月以上投与継続した(中央値5.6か月)14人は当研究時点で存命していた。

Osimertinib投与前
血漿中
人数
EGFR activating mutation(-)
nonshedder
13(25%)
shedder
40(75%)
ShedderT790M陽性患者
34(85%)

Osimertinib投与後PD   40(53人中)
血漿中
人数
表現型が変化しなかった患者
21/40
Nonshedder⇒不変
6/8(75%)
Shedder⇒同じshedder
15/32(46%)
     A+T+ ⇒ A+T+
12/26
 A+T- ⇒ A+T-
3/6
表現型が変化した患者
19/40
Shedder⇒表現型が変化したshedder
  (A+T+A+T- or non-shedder)
11/26
Nonsheddershedder
2/8
Sheddernon-shedderへ変化
6/32(19%)


全患者
nonshedder
Shedder
P
Median PFS
11.1か月
15.4か月
9.4か月
0.055
Median OS
16.9か月
36.5か月
13.5か月
0.0157

CNSmetashedder/non-shedderでバランスがとれていなかったため、脳転移なしの患者のみでも予後を比較した。

nonshedder
Shedder
P
Median PFS
15.4か月
12.4か月
0.26
Median OS
36.5か月
19.8か月
0.089

さらに、
T790M消失群          11
治療後nonshedder群      12
新規shedder/shedder維持群   17
で分けて予後を評価した。

T790M消失群
治療後nonshedder
新規/維持群
PFS
2.6か月
11.1か月
12.6か月
PD後予後中央値
5.0か月
10.8か月
5.0か月
OS中央値
9.3か月
22.4か月
15.4か月

増悪時、EGFR activating mutationが血漿中に認められない患者の方がshedder群と比較してより長い予後であった。

<考察>
今回の研究の結果、EGFR activating mutationが血漿中に漏れ出ているshedderの群の方が、non-shedder群と比較してPFS,OS共に増悪する傾向があった。特にshedder群からnon-shedder群へと変化し多場合、OSがより良好になると考えられた。更に、今回の試験の結果shedder群でT790M+だった患者で、投与後T790M-となった群が最も短いPFSとなることが分かった。一方、我々はtriple EGFR mutation(EGFR activating mutation+T790M+C797S)が予後が良好になることを発見し多。いずれも対象患者数が多くないため、今後より大人数での試験が必要と考えられる。

Limitation:
患者数
PD後に血症サンプルを取れなかった患者がいる点
多くの前治療が行われている点
集団が均一でない点

(担当:井部、まとめ:児玉)

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