呼吸器学会と合わせて開催されています、カナダ留学先McGill Universityの懇親会が開催され参加しています。本日は、Dr.Hamidが来日されており、各人英語での自己紹介、とても刺激的でした。
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2018年4月28日土曜日
第58回 日本呼吸器学会学術講演会
今回は、西埼玉中央病院3名のスタッフ、3名ともポスターではありますが、大阪にて発表です。
まず、初日4月27日井部先生
2日目4月28日児玉先生
3日目4月29日濵元先生 の発表です。
西埼玉中央病院 呼吸器内科の歴史は、まだ1年半であります。そのため、患者様のデータを見直しての、数を利用した研究はまだ先のこととなります。
しかし、診療している目の前に患者さま、一人一人に大きなヒントが隠されていることもあります。そのような症例を大事に学術的にまとめて発表していきます。
多くのマスデータも、突き詰めると、この1症例から始まっているのですね。
まず、初日4月27日井部先生
2日目4月28日児玉先生
3日目4月29日濵元先生 の発表です。
西埼玉中央病院 呼吸器内科の歴史は、まだ1年半であります。そのため、患者様のデータを見直しての、数を利用した研究はまだ先のこととなります。
しかし、診療している目の前に患者さま、一人一人に大きなヒントが隠されていることもあります。そのような症例を大事に学術的にまとめて発表していきます。
多くのマスデータも、突き詰めると、この1症例から始まっているのですね。
2018年4月25日水曜日
Predictive performance of the quick Sequential Organ Failure Assessment score as a screening tool for sepsis, mortality, and intensive care unit admission in patients with febrile neutropenia.
坂木さんのFNに関する論文です。
<背景>
Sepsis-3では、予後不良な患者を特定するための基準として迅速な臓器不全評価(qSOFA)が開発された。qSOFAはICU外の患者に対する予後予測因子としてSIRSより優位であり、complex SOFA scoreと非劣勢であることが証明されている。
しかし今なおその正確性に関しては議論になっており、更にICU内の感染患者に対するqSOFAのパフォーマンスに関しては少数の論文しか存在しない。更に、有意な罹患率と死亡率をもたらす合併症をもつ化学療法による熱性好中球減少症(FN)を伴うがん患者群における研究は行われていない。これらの患者に対しては敗血症に関して早期の正確な評価が必要である。本研究はqSOFAが実際に敗血症、死亡率、ICU入院基準としてのスクリーニングの道具として予測因子になるかを評価したものである。また、第2の目標としてMASCC(FN患者に対するリスク指標スコア)とSIRSと比較したperformanceを比較した。
<方法>
後ろ向きに収集された成人FNデータを使用した。
対象:2015年1月から12月まで峨山医療センターを受診した、発熱および化学療法による好中球減少を伴う成人患者(18歳以上)
Main outcome:敗血症の発生。
Secondary outcome:ICU入院と28日死亡
FNの診断は、絶対好中球数が<500
cells/mm3 または <1000 cells/mm3で、2〜3日以内に500 cells/mm3未満に減少し、38.0℃以上の発熱は鼓膜体温計を用いて記録された。
調査期間中にFNのエピソードが2回以上ある患者については、初回のもののみ対象とした。
臨床データ:バイタルサイン、検査データ、画像データ、併存疾患、癌診断および病期、感染部位を含む、統計および臨床データ
培養検査:入院時、尿と感染が疑われる部位、血液培養3セット
抗菌薬:PIPC/TAZまたはセフェピムを含む広範囲の非経口抗菌薬
全ての患者は28日以上追跡した。
<結果>
615人の患者のうち100人が敗血症を発症し、20人が死亡し、38人がICUに入院した。
【内訳】
33.2%が男性、FNを起こした患者のうち37.7%が乳がんであり、全体の45%がstageⅣのがん患者であった。
多変量解析では、qSOFAは敗血症およびICU入院を予測する独立した因子であった。
しかし、MASCCスコアと比較して、qSOFAのROC曲線下面積は小さかった。(AUCに関してはMASCC>qSOFA>SIRS)
qSOFAは、敗血症、28日の死亡率、およびICU入院を予測する際に低い感度(0.14,0.2および0.23)を示したが、高い特異性(0.98,0.97および0.97)を示した。
<考察>
Sepsis-3では新しくqSOFA scoreが定義されたが、これはベッドサイドでの増悪の可能性を予測する因子として使用されることとなった。我々の検査では、qSOFAはSIRSよりも正確であるものの、FN患者の敗血症のリスク、28日死亡率、ICU入院率に関してはMASCC scoreの方が正確であった。中国での同様の試験では、感染症と診断されたICU入院患者の予後をqSOFA、SOFA,APACHEⅡ,MEDSなどと比較評価したが、ROC curveのAUCは0.666と不良であった。我々の検査でもほぼ同様のAUCであり、多変量解析でもqSOFAはFN患者の予後規定因子にはならなかった。
qSOFA自体は非常に簡便で頻回にチェックできるのが強みである。本研究より新しい敗血症の診断基準としては不適と考えられるが、qSOFA陰性は敗血症の否定にはならないものの死亡率やICU入院の指標となることが分かった。
Limitation:患者はED入院時でのqSOFAを評価している。
単施設での研究
<結語>
qSOFAはFN患者に対しての敗血症、死亡率、ICU入院のスクリーニングには正確でないことが分かった。高い特異性を示したものの、qSOFAは感度としては不十分でありベッドサイドでの使用には条件がつくことが分かった。またMASCCと比較してその評価正確性は劣り、FN患者に対してqSOFAが代替指標とはなり得ないことが分かった。
(担当;坂木、まとめ:児玉)
2018年4月22日日曜日
2018年5月のJournal Club
【抄読会担当者 2018年5月】
2018年 5月2日 :薬剤 福田
2018年 5月9日 :薬剤 大越
2018年 5月16日 :呼吸器 濵元
2018年 5月23日 :研修医 森山
2018年5月30日:呼吸器 井部
2018年5月30日:呼吸器 井部
順番は、適宜相談にて変更いたします。都合悪い場合は、ご連絡ください
(2018年4月22日Ver1.0)
(2018年4月22日Ver1.0)
2018年4月18日水曜日
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer
昨日NEJMにPublishされた衝撃的な論文です。今後、Nivoの立ち位置が、バイオマーカーがどうなっていくのでしょうか?
<目的>
現在、遺伝子変異のないNSCLC患者への1st line治療はプラチナベースの化学療法である。PD-1>50%の患者に対し手はPembrolizumabがその1st lineとして取って代わった。
Phase 2ではPembrolizumabを化学療法へ加えることで、レスポンス、PFS共に化学療法単剤より明らかに優位であることが示されている。
<methods>
今回の二重盲検phase3試験では、non Sq NSCLC患者でEGFR,ALK変異のない患者616人を2:1の割合でPem+ Pt製剤±Pembrolizumab⇒mentenanceとしてPem+Pembrolizumabを35サイクル行った。Pembrolizumab単剤へのcrossoverは認められた。PEはOS、PFS。
<results>
中央値10.5か月のフォローで、12か月のOSは69.2%(Pembrolizumab群)vs 49.4%であった。
OSの優位性はすべてのPD-L1のカテゴリーで認められた。
PFS: 8.8か月 vs 4.9か月 (HR 0.52)
AE: 67.2% vs 65.8%
<結論>
前治療、遺伝子変異のないnon Sq NSCLC患者に対して、Pem+Pt+Pembrolizumabのcombination therapyは明らかに良好なPFS,OSを示した。
<Introduction>
現在、遺伝子変異のないNSCLC患者への1st line治療はプラチナベースの化学療法である。
2nd lineとして承認された治療法としてはPembrolizumab、nivolumab、atezolizumabがあり、またPD-L1>50%の患者に関しては1st lineとしてPembrolizumabが化学療法に置き換わっている。
しかしPDになった患者はえてして急速に増悪することがあり、実際に2nd lineへ移行できる患者は半分にも満たない。
1st lineでのPD-1/PD-L1阻害薬を含む combination therapyを行うことがPFSの延長につながる可能性がある。PD-L1阻害は殺細胞性化学療法のpotential immunogenic effectsにより強調されていると考えられる。
例:腫瘍細胞の破壊後、樹状細胞の抗原提示の機会を増加させる
細胞障害性T細胞がregT細胞を上回る
Myeloid derived suppressor cellを阻害する
STAT6 pathwayを阻害することで樹状細胞の活動性を増加させる
Phase2としてのCBDCA+Pem±Pembrolizumabでは、PFSが明らかに優位であった。
Phase 3のKEYNOTE-189では我々は全PD-L1の範囲でPem+Pt±Pembrolizumabのnon Sq NSCLCへの効果を比較した。
<Methods>
対象:18歳以上の未治療のPt
EGFR,ALK(-)のnon Sq NSCLC
PS 0-1、計測可能領域が最低でも一つあるもの
除外基準:CNS meta、非感染性肺臓炎に対してステロイド使用歴のあるもの、
自己免疫疾患、免疫抑制剤の使用中の患者
6か月以内に対し30Gy以上の放射線照射歴のあるもの
今回の二重盲検phase3試験では、non Sq NSCLC患者でEGFR,ALK変異のない患者616人を2:1の割合でPem+ Pt製剤±Pembrolizumabに割り付けられ、3週間おきに35サイクル継続された。ランダム化の基準はPD-L1率、使用するPtの種類(CDDP vs CBDCA)、喫煙歴
4サイクルのPt製剤+Pemを3週おき⇒Pem 3週おき
CT、薬剤性副作用、主治医の判断、患者の撤回までは継続された。
Pembrolizumab単剤へのcrossoverは認められた。
CTは6週目、12週目、そこから9週おきに48週まで行い、そこからは12週おき。
PE:OS、PFS。
SE:RR、responseまでの期間、安全性
Exploratory end point:PD-L1毎のoutcomeの評価
<results>
16か国、126施設から965人が登録。Pembrolizumab 410人、placebo 206人
Crossoverは67/206(32.5%)で行われた。
|
Pembrolizumab
|
Placebo
|
HR
|
治療期間
|
7.4±4.7か月
|
5.4±4.3か月
|
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Data cutoff時点での治療継続率
|
137/405(33.8%)
|
36/202(17.8%)
|
|
12か月生存率
|
69.2%
|
49.4%
|
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OS中央値
|
未到達
|
11.3か月
|
0.49
|
PD-L1<1%のOS
|
61.7%
|
52.2%
|
0.59
|
PFS
|
8.8か月
|
4.9か月
|
0.52
|
12か月後のPFS率
|
34.1%
|
17.3%
|
|
RR
|
47.6%
|
18.9%
|
P<0.001
|
DCR
|
84.6%
|
70.4%
|
|
全Grade AE
|
99.8%
|
99.0%
|
|
G3以上AE
|
67.2%
|
65.8%
|
|
AEで治療中断
|
13.8%
|
7.9%
|
|
AE leading to death
|
27/405 (6.7%)
|
12/202 (5.9%)
|
|
最も多いAEは嘔気、貧血、倦怠感
Pembro群で10%以上報告のあったAEは下痢、皮疹。
Pembro群で多いG3以上のAEはFN
<Discussion>
このphase3試験でPembrolizumabを化学療法に追加することで50%以上リスクを下げられることが分かった。KEYNOTE024の結果も踏まえ、このKEYNOTE189は1st lineとして非常に効果的な結果であった。
更に、この結果はPD-L1の発現率に関わらず認められ、従来聞かないとされていた1%以下でも有効であることが判明した。最も良好な結果となったのは50%以上の群であり、これまでのPD-L1と同様の結果が示された。今後、Pembro+Pem+PtがPembro単剤と比較し手良好な結果が出るかが待たれる。
今後長期的なフォローをすることで、これまでの報告の様にplateauになれば、この結果も多少変化するかもしれない。
AEに関してはその頻度を増加するものではなかった。Pembrolizumab+PemはPembrolizumab単剤と比較してIrAEが多くなることもなかった。例外はネフローゼとAKIであり、これまでの報告頻度より多くなった
(担当:児玉、まとめ:児玉)
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