免疫療法のAEで、毛髪の色素沈着がある。効果予測因子になるか?
とても、興味深い内容ですが、・・・
<背景>
近年がん治療に関して新規薬剤が次々に登場し、次世代の治療法が注目されている。
NSCLCに関しては現在PD-1抗体としてnivolumab、pembrolizumabの2種類、PD-L1抗体としてatezolizumabが承認されている。しかしこれら免疫療法に関して、その副作用に関してははっきりしていない。PD-L1抗体、PD-1抗体による免疫療法を行うことによる毛髪への色素沈着(Hair Repigmentation,HR)は、まだ知られていない副作用の一つである。
<case report>
免疫療法を行っている肺がん患者52名の皮膚科的副作用を確認するなかで、14人(男性13人、女性1人)の患者でHRを認めた。
HRを認めた患者内訳:
Sq
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Adenocarcinoma
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4人(28.6%)
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10人(71.4%)
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Nivolumab
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Pembrolizumab
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Atezolizumab
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11人
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1人
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2人
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<結果>
HRを起こした患者14人は1人(PD)を除き全員がPRないしSDであった。
HRは拘頭部、頭頂部から始まり、前頭部・側頭部へと拡大することが多かった。
<考察>
副作用としてのHRはthalidomide, lenalidomide, erlotinib,
adalimumab, etretinateなどで報告されているものの、非常に稀である。このメカニズムは解明されていないものの、炎症性サイトカインが阻害されることでメラニン形成のnegative regulatorが解除される、
といった報告や、毛包内のメラノサイトを炎症細胞が刺激することでHRとなる、などの可能性が指摘されている。
最近の報告では灰白髪となる毛包ではメラノサイトがアポトーシスや酸化ストレスにより死滅することによって引き起こされる、とされている。完全な「白髪」と異なり、灰白髪となる部分に関してはメラノサイトが残存しているとされ、上記の説明も可能となる。
HRを起こした中で唯一PDとなった患者は、4サイクルのみの免疫療法投与であり、臨床的試験ではresponseがあるまでの平均的気管が2.1か月と報告されていることからこの症例に関しては治療失敗と結論づけることはできないだろう。
<感想>
非常に稀なHRについての報告である。大規模phase3では報告のないHRだが、筆者によると良好なマーカーとなると結論付けている。しかし、「HR出現の時期」が明文化されていないため、時期的にマーカーとして使えるか評価できない上、そもそも後ろ向き試験であるため様々な交絡因子が関わっている可能性が否定できない。ただ、白髪がもとに戻る、という副作用自体は歓迎すべきことかもしれないか。
(担当:石井、まとめ:児玉)
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