2nd Generation DacomitinibについてのPIII試験です。いい感じの発表でした。
<背景>
EGFR陽性患者のNSCLC患者に対し、1st lineの治療薬としては現在第1世代としてgefinitib,erlotinibが、2世代TKIとしてafatinibが使用されている。Dacomitinibは第2世代のEGFRTKIであり不可逆的にEGFRを阻害し、EGFR/HER1、HER2、HER4の全てのErb familyに対し作用することが分かっている。これまでのEGFRTKIは化学療法との比較試験のみ行われており、TKIどうしのhead-to-headの結果は不透明であった。
本試験ARCHER1050はphase 3、open labelランダム化試験であり、dacomitinibとgefitinibとの効果・安全性を比較検討した。
<方法>
対象:7か国、18歳以上で未治療stageⅢb/Ⅳ ないし術後再発のNSCLC患者
EGFR major mutation(exon19、L858R)の患者でPS0-1
除外:EGFR minor mutation、混合性組織型、脳転移患者、TKI使用歴のある患者
以上条件の下、対象をdacomitinib群(45mg/day) とgefitinib群(250mg/day)に1:1に割り付けした。
PE:客観的PFS
SE:実験者PFS, ORRの割合、OS、response期間
<結果>
Dacomitinib群227人、gefitinib群225人が登録された。
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Dacomitinib群
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Gefitinib群
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HR
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IRC評価のPFS
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14.7か月
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9.2か月
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0.59
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担当医PFS
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16.6か月
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11.0か月
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0.62
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IRC評価ORR
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74.9%
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71.6%
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P=0.3883
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AE
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226/227(99%)
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220/224(98%)
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G3以上のAE
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21人(9%)
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10人(4%)
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Exon19反応性
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102/134 (76%)
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93/133(70%)
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P=0.2541
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L858R
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68/93 (73%)
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68/92(74%)
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0.9025
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AEとして多かったのは下痢(87%)・爪周囲炎(62%)・座掻痒皮膚炎(49%)(dacomitinib)に対し下痢(56%)・ALT上昇(39%)、AST上昇(36%)(gefitinib)であった。
投与中止したのはdacomitinib群で22人(10%)、gefitinib群で15人(7%)。
一時投与中断はdacomitinib群で177人(78%)、gefitinib群で120人(54%)
dacomitinib群で減量投与となったのは150人(66%)、うち87人(38%)は30mg/dayまで減量、63人(28%)は15mg/dayまで減量となった。減量までの期間の中央値は2.8か月だった。
<考察>
ARCHER1050はEGFR陽性のNSCLC患者の1st lineとして第1世代EGFRTKIと第2世代とを比較した最初のphase3試験である。その結果、dacomitinib群の方が明らかに長いPFSとなり、これまでのどのEGFRTKIのphase3試験よりも長期となった。この結果はdacomitinibを1st lineとして使用する十分な根拠となりえる。試験デザインが違うため参考としかならないが、dacomitinibはLUXLUNG7のafatinibと比較しても長期なPFSとなった(24か月時点でのPFSはdacomitinib で30.6%、afatinib(LUXLUNG7)で17.6%)
Gefitinib群と比較して長期な成績となったのは、dacomitinibは標的分子と不可逆的な阻害をすることと関係があると思われる。
AEに関しては従来の報告と差のない結果となった。下痢などの症状の出現もあるため、適切な濃度となるよう使用時には減量を検討する必要がある。
Limitation:
脳転移患者は除外されており、結果的に予後がよくなった可能性がある。
Dacomitinib群の方が女性の割合が高く、PS0の患者の割合も高かった
(担当:石井 大輝、澤井 夏海、吉田 友貴穂、まとめ:児玉)
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