本日のJournal ClubはICTナース・坂木氏が、高齢者誤嚥性肺炎の危険因子についてまとめた2015年に発表の論文について説明してくださいました。
【目的と方法】
誤嚥性肺炎は、市中感染性肺炎および医療関連肺炎の支配的な形態であり、高齢者集団の主要な死因である。しかし、高齢者で誤嚥性肺炎を発症する危険因子は完全には評価されていない。本研究は高齢者の誤嚥性肺炎の危険因子を明らかにすることを目標とした。日本の老人医療・看護センターに関する全国調査のデータを使用して、後方観察型の研究を実施した。研究対象には、過去3か月間に誤嚥性肺炎のエピソードを経験した人と受けなかった人の2つのグループに分けられた9930人の患者(中央値86歳、女性76%)が含まれていた。人口統計、臨床状態、日常生活動作(ADL)、および主要な病気に関するデータを、誤嚥性肺炎の有無にかかわらず被験者間で比較した。 259人の被験者(全サンプルの2.6%)が誤嚥性肺炎グループに属した。単変量解析では、高齢は誤嚥性肺炎の危険因子であるとは判明しなかった。以下は吸引処置が必要な者(オッズ比[OR] = 17.25、95%信頼区間[CI]:13.16–22.62、p <0.001 )、毎日の酸素療法(OR = 8.29、95%CI:4.39–15.65)、摂食支援依存(OR = 8.10、95%CI:6.27–10.48、p <0.001)、および尿路カテーテル挿入(OR = 4.08、95% CI:2.81–5.91、p <0.001)。多重ロジスティック回帰分析では、傾向調整後の誤嚥性肺炎に関連する危険因子(各258人の被験者)は吸引(OR = 3.276、95%CI:1.910–5.619)、過去3か月の嚥下機能の低下( OR = 3.584、95%CI:1.948–6.952)、脱水症(OR = 8.019、95%CI:2.720–23.643)、および認知症(OR = 1.618、95%CI:1.031–2.539)。
【結果と結論】
誤嚥性肺炎の危険因子は、吸引処置、嚥下機能の低下、脱水、および認知症であった。これらの結果は、反復性誤嚥性肺炎を予防するための臨床管理の改善に役立つ可能性がある。
【抄読会での主な討論】
・吸引処置が必要なものが危険因子といわれても、それはそうだろうとしか言えない。
・一見、新しいことがまったく含まれていない論文に見える。
・その危険因子として脳血管障害および脳変性疾患に伴う不顕性誤嚥など、疾患アプローチは今までもあったが、それ以外の因子でまとめたという意味では意味のある論文なのかも。
・この論文が4年前のもので、これを土台にして口腔ケアをしっかりしましょうなど、呼吸器学会などのアカデミックが意志統一する話になったようだ。
(まとめ:呼吸器・石井)
0 件のコメント:
コメントを投稿