<背景>
NSCLCに対しての治療法の一つがEGFRTKIであり、gefitinib,erlotinib,afatinibなどが現在の日本では使用されている。TKIによる治療は化学療法と比較して明らかにPFSを延長し、6論文のメタアナリシスでは化学療法のPFS 5.6か月に対しTKI使用のPFS11か月となっている。オシメルチニブは第3世代のEGFRTKIでありT790M変異に対して有効であるとされている。AURA試験での好意的な結果により、現在ではEGFRTKI使用後にT790M耐性を獲得した場合の2nd lineとして承認されている。前臨床段階ではオシメルチニブはBBBも通過し脳転移に対しても有効であるとされている。本試験では1st lineとしてオシメルチニブを使用した際の有効性について考察した。
<方法>
二重盲検、phase3試験
対象:NSCLCでEGFR major mutation(ex19del, L858R)の患者。
CNS転移は症状が安定しておりステロイド治療などの全治療は本試験開始2週間前までに完了していること
オシメルチニブ(80mg/day)群と標準的TKI群(gefitinib 250mg/dayあるいはerlotinib
150mg/day)に割り付けされた。
EGFR変異および人種(アジア人と非アジア人)はそれぞれ割り付けに際し考慮された
PE:PFS期間
SE:OS、ORR、response期間、DCR、depth of response
CNSに関して、MRIの撮影は必須ではなかった。
<結果>
2014-2016の期間で29か国、132施設から994人が登録された。
その中で279人がオシメルチニブ、277人が標準TKI
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Osimerutinib群
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standardTKI群
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HR
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Median PFS
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18.9か月
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10.2か月
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0.46
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Median PFS期間
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15.0か月
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9.7か月
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CNS転移ありのPFS
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15.2か月
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9.6か月
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0.47
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CNS転移なしのPFS(無評価含む)
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19.1か月
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10.9か月
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0.46
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OS
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未到達
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未到達
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0.67(現時点)
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ORR
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80%
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76%
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subgroup解析でも全ての解析群でosimerutinib群が優位となった。
AEに関してはgrade3以上のAEはosimerutinib群で34%,標準群で45%であった。osimerutinib群で多かった副作用としては皮疹、下痢、皮膚乾燥などがあった。また、QT延長はosimerutinib群でより多く報告された。
<考察>
本試験FLAURA試験はosimerutinibを1st lineとして使用することでPFSの明らかな改善を認めることが示された。そのmedian PFSもこれまでの2世代TKIの報告(ARCHER1050、LUX-Lung7など)と比較しても明らかに長く、1st
lineとして適していると考えられる。
さらにARCHER1050では除外されている脳転移群に対しても有効であることが示された。
Limitation:
無症状CNS転移に関しては評価されていない可能性が排除できない
Afatinibとは比較していない(試験開始時はafatinibはまだ一般的ではなかったため)
<感想>
FLAURA試験を受け、日本でもタグリッソ1st
lineが恐らく受け入れられることとなるだろう。Afatinibと比較しても効果は良好であり、副作用が少ないため今後はオシメルチニブが覇権を握ることとなるだろう。OSに関してはimmatureであり正確にはわからないもののKaplan-Myerが早期より分かれており、現時点の見通しとしては恐らく良好な結果が出そうである。
問題としてはosimerutinib failureとなった際にどうするか、afatinib 1st line⇒osimerutinib 2nd lineと比べどちらが有効性が高いか、などがある。現在osimeru+Bevなど試験も豊富に進んでおり、今後も抗癌剤の変遷は続いていくことになるだろう。
(担当:井部、まとめ:児玉)
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