私見ですが、好酸球性の重症喘息を組み入れていますが、20%に効果ないとされています。好酸球数を150以上としていますが、本当に好酸球性の喘息なのかが疑問に残ります。
<背景>
喘息はとても一般的な慢性炎症性死間であり、世界で3億人の罹患者がいると推定されている。その中でも5-10%の患者は高容量ステロイド吸入が必要な重症喘息であり、更にその中の45%が経口ステロイドの維持内服を必要とする。ステロイドは効果的である反面様々な副作用の原因ともなるため代替手段が必要である。
好酸球性炎症は喘息の中でも重要である、ステロイドはこれに対し炎症の抑制をもたらす。
一方mepolizumabとreslizumabはIL-5に対して作用するモノクローナル抗体であり喘息増悪の抑制と症状のコントロールに有効であるとされている。
BenralizumabもIL-5に作用するモノクローナル抗体であり、前述2つと比較して好酸球を枯渇させることができる薬剤である。本試験ZONDA試験ではこの薬剤の効果と安全性を評価した。
<方法>
二重盲検試験
対象:150/mm3以上の好酸球数を持つ成人
登録の12か月前~:中等量~高容量の吸入ICS/LABAあるいは
登録の6か月前~:高容量吸入ICS/LABAの吸入を行っていること
登録の6か月前~:経口ステロイド内服をしている(PSL換算で7.5~40mg/day)
以上の患者に対し、まず
①
Run-in phase:経口ステロイドを発作を起こさない再小量まで減量する
その後患者を
a)benralizumab 30mgを4週ごと(28週まで一定)
b)benralizumab 30mgを4週ごとに12週まで、以降は8週ごと投与
c)プラセボ投与を4週ごと
の3群に分けた。
②
Induction Phase:run-in phaseのPSL量を継続投与しつつ上記投与。
③
Dose reduction Phase:4週おきに2.5~5mgのPSL減量が認められた。
PE:ステロイドの減量パーセント
SE:減量できた患者の割合
Additional end point:asthma exacerbation rate,AQLQ,ACQなど
<結果>
369人が登録され、最終的に220人が割り付けされた。
Benralizumab投与群ではステロイド減量中央値は75%、プラセボ群で25%であった。90%以上経口ステロイド減量できた割合はBenralizumab群で37%、プラセボ群で12%であった。オッズとして、Benralizumab群はプラセボ群と比較し減量の可能性が4倍以上であった。
副作用:
220人中166人で副作用報告があった。うち28人(13%)が重篤な副作用であった。
Benralizumab群では、8週投与群で2人が中断となった。
また、Benralizumab群の12人(8%)で薬剤抗体が見られ、8週投与群の2人が死亡した(心不全・肺炎)
<考察>
Benralizumab群はプラセボと比較して明らかにステロイド量を減量することができた。また、増悪の頻度もBenralizumab群が少なく有効と考えられた。一方FEV1.0は明らかな有意差を認めなかった。
Limitation:28週のみの検討(SIROCCO試験などは56週)
<感想>
プラセボ群と比較するとBenralizumabは明らかに有効と考えられるものの25%は減量ができていない。これは条件としてeosino≧150/mm3と、従来の試験(eosino≧300)と比較して好酸球で除外をかけていないことにより好中球性の喘息が入っている可能性が考えられる。効果としては十分だが、値段を考慮すると恐らく中々使いづらい薬剤となる可能性はありそうだ。
(担当:濵元、まとめ:児玉)
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