Bezlotoxumab for Prevention of Recurrent Clostridium difficile Infection.
【背景】
入院患者における感染性下痢症の原因で最も多い菌がClostridium difficile である。日本では一般的にバンコマイシン、メトロニダゾールなどが使用されることが多いが、初期治療を行った後でも35%程度の人が再発するとされている。
再発した場合は難治性・予後不良、そして50-60%で再発するとされる。更に治療方針は定まっていない。
CD関連下痢症の原因となるのはC. difficile トキシン A、Bであり、アクトクスマブ(actoxumab)とベズロトクスマブ(bezlotoxumab)は,それぞれ C. difficile トキシン A,B に対するヒトモノクローナル抗体である.本研究は再発性CD関連腸炎に対するbezlotoxumab単独及びbezlotoxumab+actoxumabの有用性、安全性に関して報告したものである。
【方法】
二重盲検無作為化プラセボ対照phase3、MODIFY I と MODIFY II を行った.(両試験とも内容自体はほぼ同じ)
対象:C. difficile の初感染または再発患者に対し、標準治療である経口抗菌薬投与を受けている成人 2655 例
MODIFY
I:①actoxumab単剤投与
②bezlotoxumab(10
mg/kg)
③actoxumab+bezlotoxumab(それぞれ10 mg/kg)
またはプラセボ
MODIFY
II:上記②、③またはプラセボ
※MODIFY Iのactoxumab単剤投与は予定されていた中間解析後に
中止となった.
Primary endpoint:修正 intention-to-treat 集団において,点滴静注後 12 週間以内に再発した感染(最初の臨床的治癒後はじめての発生)
【結果】
<再発率>
bezlotoxumab
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Actoxumab
+bezlotoxumab
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プラセボ
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MODIFY I
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17% [67/386]
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16% [61/383]
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28% [109/395]
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MODIFY II
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16% [62/395]
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15% [58/390]
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26% [97/378]
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最初の臨床的治癒が認められた割合は,bezlotoxumab単剤群 80%,actoxumab+bezlotoxumab群
73%、プラセボ群 80%であり,持続的治癒(最初の臨床的治癒後 12 週間以内に再発がない)が認められた割合は,それぞれ 64%,58%,54%であった.
AE: 3 群で同程度であり、とくに頻度が高かったのは下痢と悪心であった.
【結語】
C.
difficile の初感染または再発に対し抗菌薬投与を受けている患者において,bezlotoxumabは,プラセボよりも再発率が有意に低かった。一方actoxumabの追加による効果の向上はみられなかった.
【discussion】
本報告では、日本で一般的に使用されるバンコマイシン、メトロニダゾールのみと比較しbezlotoxumabを使用した時の方が再発率は低かったとしている。一方でlimitationとして、bezlotoxumab使用前の薬剤の種類・投与期間などに関しては一定ではなく、単なる治療不足の可能性や、米国などでは使用されることのある便培養(治療成功率が80-90%と高い)を施行したかどうかに関しては触れられていないなどが説得力に欠ける点である。
さらに、プラセボとの比較試験となっており実際に使用されるメトロニダゾールなどとの比較でない点や、分子標的薬であり薬剤自体が高価である点も踏まえると、(メトロニダゾール自体が非常に安価であることもあり)現状では実臨床使用には効果面、コスト面などでまだ時間がかかるであろう。
(担当感染Ns坂木、まとめ児玉)
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