A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation.
安静時または運動時に中等度酸素飽和低下が認められるCOPD患者に対し、長期酸素療法を行っても、初回入院または死亡までの期間延長にはつながらなかった。COPD増悪率やCOPD関連入院率についても、低減効果は示されなかった。
研究グループは、米国内42ヵ所の医療機関に、中等度の安静時酸素飽和低下(パルスオキシメーター測定の酸素飽和度SpO2:89~93%)と、中等度の運動時酸素飽和低下(6分間歩行テスト中のSpO2≧80%が5分以上、90%未満が10秒以上)の安定期COPD患者、738例をリクルートした。
被験者を無作為に2群に分けを行なった。
長期酸素療法 有り群:368例
長期酸素療法 なし群:370例
(被験者に割り付けの盲検化は行われていない)
《主要評価項目》
《主要評価項目》
時間-イベント解析による生存期間または初回入院までの期間
《結果》
追跡期間:1~6年(中央値は18.4ヵ月)
両群の被験者特性は類似
生存期間または初回入院までの期間には、両群で有意差は認められなかった
(ハザード比:0.94、95%信頼区間[CI]:0.79~1.12、p=0.52)
全入院率も両群で同等だった
(率比:1.01、同:0.91~1.13)
COPD増悪率
(率比:1.08、同:0.98~1.19)
COPD関連入院率
(率比:0.99、同:0.83~1.17)
両群で有意差はなかった。
《まとめ》
中等度のCOPD患者への長期在宅酸素の有用性を検討した前向き試験であった。Disccusionでは、Limitationとして5つもの項目を挙げて本試験のExcuseを行なっている。
1)患者バイアスとして、既に酸素療法を信じている人がエントリーしていない
2)患者からの情報不足として追跡しきれていない可能性
3)酸素デバイスの統一化が行われていなかった
4)酸素投与の直ぐの反応は見ていない
5)患者自らの酸素使用に関しての報告では、Overestimateであった可能性
などと記述し、最後の結論として、中等度のCOPD患者への長期酸素投与は生存期間または初回入院までの期間への影響はなかったとまとめている。中等度のCOPD患者へ率先して酸素を導入すること(医療経済的)への一石となるかもしれないが、患者を目の前にして低酸素で耐えろとは言えないこともあり、臨床医の判断が重要となると思われる論文であった。
(呼吸器内科 濱元)
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