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2016年10月28日金曜日

Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope


Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope
NEJM 2016;375:1524-31
 
  失神した入院患者においての肺血栓塞栓症については、ガイドライン含めあまり多くの記載がない。本研究では、入院した失神患者に、Simplified Wells Scored-dimerの2つの項目を用いてPEのリスクと思われる患者を抽出。抽出されたハイリスク群に対して、造営CTもしくは、血流シンチにてPE評価を行った。2584人の患者エントリー中、560人が最終的に評価対象とされた。97名が実際にPEとして発見診断された(463名はPE陰性)。  

失神で入院した患者で、リスクのある群において6人に1人が実際にPEとして診断されるに至る結果となった。

(内分泌糖尿;澤野)

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1602172




 

2016年10月19日水曜日

21th International Congress of Palliative Care


21th International Congress of Palliative Care 
カナダのモントリオールで開催されました。秋の紅葉の時期でとても美しい街並みが、更に際立って美しく見えました。
http://www.palliativecare.ca

 McGill University がメインとなり、世界の緩和治療について、多くの議論がされます。
McGill Universityの象徴的なArts Building(最も古い建造物で1843年に完成)

会場は、大聖堂近くのParis des Congresで開催されました。
規模としては、そう大きくはない印象の国際学会です。


 2日目に、ポスターでの発表があり、多くの方から質問されました。質問内容を記録し、今後論文化の際に役立てていければと思います。ご意見いただきましてありがとうございました。


《発表内容》
 先進国のどの国も緩和末期のがん患者様は自宅に帰りたい希望があるようですが、現実は叶えられてないようです。
              がん終末期に自宅希望    実際に在宅緩和
    オーストラリア       70%         14 %
    カナダ           75%         29 % 
    日本            60%          8.9%
  (Session 519: HOME CARE 19th Oct. 2016 21th Congress of palliative Careより)
  (日本のデータは、三重大の発表より抜粋)

今回、西埼玉中央病院から発表したのは、過去のNSCLC患者を、終末期どこで過ごしたかを、3群に分けて生存分析を行いまとめています。
 結果としては、病院よりも緩和(自宅・ホスピス)が望ましい結果でしたが、詳細は論文化後再度ご報告します。
  (呼吸器内科 :濵元 陽一郎)

2016年10月14日金曜日

Effect of Wearable Technology Combined With a Lifestyle Intervention on Long-term Weight Loss

Effect of Wearable Technology Combined With a Lifestyle
Intervention on Long-term Weight Loss
JAMA | OriginalInvestigation JAMA. 2016;316(11):1161-1171



2016年JAMAに、掲載されたウェアラブル端末を利用したダイエット方法が、標準ダイエット方法と比較して有効な手段であるかの比較検討試験です。
ウェラブル端末を用いた群でも、そうたいした効果がなかったという論文結果でした。Limitationには、言い訳も多く言及していました。しかし、1ページ目のAbstの段階で間違いが指摘される気がします。また、盲検になることができないため、端末を用いている群にとり、良い効果なのか悪い効果なのかも不明なデザインでした。
                         (糖尿病内科 石井 尚)

2016年10月7日金曜日

Multicenter Cohort Study on the Survival Time of Cancer Patients Dying at Home or in a Hospital



Multicenter Cohort Study on the Survival Time of Cancer Patients Dying at Home or in a Hospital: Does Place Matter? 

今回の抄読会は、緩和ケアーがテーマの論文でした。出典はCacner(IF:5.64)2015からです。
がん末期で死ぬ場所が、生存期間に影響があるか、他施設の前向きな試験です。

BackGround:
死に場所は、死に向かっている患者の死に際の質に多大なる影響を与えている。死亡する場所によって、生存期間が異なるかは未だ不明である。本研究では、自宅で死亡するか病院で死亡するか、癌患者さんの生存に違いがあるかと探索的に研究することが目的。

Methods:
本研究は、多施設、前向き、コホート研究である。2012年9月から2014年4月まで58の緩和の専門施設で行われた。

Results:
2426名の患者がリクルートされ、その内2069名が本研究の為解析された。

   1582名:hospital-based palliative care
   487名 :home-based palliative care

生存期間                   days           weeks           months
 hospital-based         13days          36days         
    home-based              9days           29days
    (p-value)                (p=0.006)      (p=0.007)    (not significant)

Conclusion:
 本研究では癌患者は、病院で死亡する患者と比べ、自宅で死亡する患者の方が、同等もしくは、それ以上に生存期間を長くする。



感想:
 癌患者への早期緩和ケアー導入が予後をQOLを上げるだけでなく、生命予後も延長させることが報告(NEJM2010 363;8, 733)されて以降、緩和ケアーの見方が変化しつつある。
 しかし、本論文でのLimitationでも記述がある通り、症状の重症度・症状の進行・家族のサポートの有無や、資金の程度などまだバイアスが多く存在することも事実かもしれない。少なくとも、日本国においての大規模な研究でここまで言及できたことは素晴らしい結果であったと思う。
(担当;呼吸器内科 濵元 陽一郎)