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2019年2月16日土曜日

第18回 日本病院総合診療医学会 学術集会での発表

沖縄恩納村で開催された、第18回日本病院総合診療医学会 学術集会で発表しています。西埼玉中央病院は2018年4月より本学会の認定施設として認定されています。
石井先生と、濵元で免疫チェックポイント阻害剤についての2演題発表しました。当院の施設認定にも参加が必須でありました。総合診療の目線での、学びは多くあり、特に一般病院での結核診療のあり方の発表は、今後の診療に役立てるものと実感できました。

沖縄はもう、暑い!!短パンでTシャツで歩いています。早く、東京も暑くなれ!
(記:濵元)




2019年2月13日水曜日

Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis

本日のJournal Clubは、呼吸器内科・井部達也先生に、心内膜炎に対する抗菌薬の一部経口投与と静脈内投与との比較について,最新(2019131日発表)のNEJMの論文の皆での抄読です。
※今回から、抄読会での討議内容をHeadにもってきました。

【抄読会での主な討論】
・感染性心内膜炎は右心系が多いはずであり,その意味でも右心系で既に結果が出ていることから今回の結果も当然の結果と言えそうである.
Limitationsにもあるように,合併症の多い高齢者を除いており,チャンピオンデータを集めている.選択バイアスはそれなりに大きいと言わざるを得ない.
・この結果の通りにガイドラインが改訂されることがあれば,感染性心内膜炎の治療はかなり入院期間が減らせることになる.敗血症としてまずは2週間という先入観も捨てる必要がある.
・このStudyでは菌種を特定しており,耐性菌は除外しているが,血液培養で耐性菌が出た時には内服での抗生物質は非常に高価な薬剤になるので,今回の研究結果がどうであっても医療経済の面でも静脈投与継続が望まれそうだ.

【目的と方法】
左心系感染性心内膜炎患者には一般的に,抗菌薬の静脈内投与が最長 6 週間行われる.状態が安定した時点で静脈内投与から経口にスイッチした場合に,静脈内投与を継続したときと同程度の有効性と安全性が得られるかどうかは不明である.ちなみに,右心系については、すでにこの非劣勢を示す結果があり,この研究では同様の効果について左心系について検証した.この試験は多施設共同無作為化非劣性試験で, 連鎖球菌,Enterococcus faecalis,黄色ブドウ球菌,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)のいずれかによる左心系に感染性心内膜炎を有し,抗菌薬の静脈内投与を受け,弁置換術など手術後7日以上を経過しており,状態が安定している成人 での400 例を,抗菌薬の静脈内投与を継続する群(199 例)と経口投与に切り替える群(201 例)に振り分けて行った.初回に選ばれた1954名からは,Duke基準で多くが除外される結果となった.全例に抗菌薬の静脈内投与が少なくとも 10 日間行われ(中央値17日間)た.経口投与群の患者は可能であれば退院し,外来治療を受けた.プライマリーエンドポイントは,無作為化から抗菌薬投与完了後 6 ヵ月までの全死因死亡,予定外の心臓手術,塞栓イベント,一次病原菌による菌血症の再発の複合と設定された.

【結果と結論】
無作為化後,抗菌薬投与完了までの期間の中央値は静脈内投与群 19 日(四分位範囲 1425),経口投与群 17 日(四分位範囲 1425)であった(P0.48).主要複合転帰は静脈内投与群の 24 例(12.1%)と経口投与群の 18 例(9.0%)で発生し(群間差 3.1 パーセントポイント,95%信頼区間 -3.49.6P0.40),非劣性の基準を満たす結果であった.また、それらの結果は各菌種(連鎖球菌,Enterococcus faecalis,黄色ブドウ球菌,CNS)によっても同様であった。この結果から,合併症を有さずに状態が安定している左心系心内膜炎患者において,抗菌薬の経口投与への変更は,静脈内投与の継続に対して非劣性を示すといえる.Limitationsとしては,合併症を有す高齢者は多く除外されており,実臨床を反映していると言い難いこと,耐性菌での結果を調べていないこと,20%の患者でしかランダム化してそれぞれの群に分けられず,多くは医師の裁量で経口へのスイッチが判断されたこと. また、経口を継続できる条件は下痢などの腹部症状を有さないことなど、ある程度の選択バイアスが生じている可能性がある.

(担当:井部、 まとめ:石井)

2019年2月6日水曜日

Reduced need for surgery in severe nasal polyposis with mepolizumab: Randomized trial.


今回は、濵元の担当です。最近、外来にて多くの慢性咳嗽患者さまの紹介頂いております。好酸球性副鼻腔炎と喘息の合併患者に対しての抗体治療について考えてみました。手術治療の前に、難病申請してしっかりと抗体治療を行なって見るべきなのかもしれません。ただ、長期経過が不確定なのかもしれませんが。

<背景>
慢性副鼻腔炎は欧州でも比較的コモンな疾患であり、それによりQOLの増悪や睡眠、精神的な健康等にも影響し、職場の長期離脱にもつながる疾患である。好酸球性副鼻腔炎に対する治療としては経鼻・経口ステロイドや長期抗生剤、手術などが一般的である。しかし最終的に手術に至るケースも多く、手術を行ったとしても8年以内の再発率が15%程度と決して低く無いことが知られている。抗IL-5抗体であるmepolizumabは現在鼻ポリープに対する治療として注目されている。本研究ではmepolizumab投与による手術必要性の減少が見られるかを評価した。

Method
多施設のランダム化二重盲検試験。

対象:18-70歳の手術が必要な再発性鼻ポリープの患者。
内視鏡的鼻ポリープスコアが3点以上かつVAS score7点以上

除外:高容量ステロイドが必要な患者、4週以内に喘息増悪にて入院している患者

以上をmepolizumab 750mg 群とプラセボ群にランダム化した。3か月以上の経口ステロイド治療にて対象グループを標準化した後、登録し、4週おきに計6回投与とした。

PE:投与25週までに手術の必要性がなくなった患者数(手術適応は内視鏡的な鼻ポリープスコア、VASスコアなどを元に定められている)
SE:各時点での手術を必要とする基準を満たす患者数、VASスコアの変化、個人の症状VASスコア、本人症状など

<結果>
107人の患者が登録された。(mepolizumab54人、プラセボ53)


Mepolizumab
プラセボ群
P
手術で適応がなくなった患者数
16/54 (30%)
5/51(10%)
0.006

VAS scoremepolizumab群において治療差が-1.8であった(ITT 95%CI -2.9~-0.8)
Mepolizumab投与による副作用は、治療群間でほぼ同等であった。最も頻度の多かったものは頭痛、鼻咽頭炎であり、いずれもプラセボ群に優位に多かった。

discussion
本研究によりmepolizumab投与によってQOL関連SNOT22、症状などがプラセボ群より明らかに改善を認めることが示された。症状の改善は投与から9週目より徐々に明らかになった。Mepolizumab投与により難治性鼻ポリープ症の患者の手術の必要性を減少させることができるかもしれない。

Limitation
治療期間が6か月までであり、より長期間での有効性を考慮する必要性がある。
また、mepolizumab の投与量が750mgであったのは、試験開始時点での使用可能量がこれだけであったからである。今後は100mg/4週ごと、という投与方法になるかもしれない。

結論として、本研究によりmepolizumabが局所ステロイドで治療された重篤な両側鼻ポリープにおいて、手術を必要とする患者数を優位に減少させ、その症状も改善することを示した。

<考察>
Mepolizumab17万円/回という高額であり、一般的に投与を継続し続けることを考えるとかなり高額な出費となる。一方鼻副鼻腔炎(片側)の手術が5万点程度、大体1週間程度の入院であり、リオペの頻度もそれほど高くないようである。どちらが患者にとって有益かを考慮する必要はあるだろう。しかし症状が改善することは事実であり、今後の薬価改定でより安価になることが期待される。
(担当:濵元、まとめ:児玉)